西京の駐車場から西京まで1ブロックほど。
また小雨がぱらついていたが、荷物もあったし傘は差さずに小走りで屋根の下に移動した。
瓦屋根の和風建築で、それほど大きな建物には見えない。
でも安価に泊れる宿にありがちな手入れが行き届いていない感は全くない。
格子戸をあけるとスリッパが並んでいて、小さ目のロビーの真正面にガラス窓。その向こうに庭らしいものが見えている。
どういう造りなんだろうと面食らった。
ここはさっきも書いたように館内に中庭があり、それをとても活かした造りだ。決して広くは無いんだけれども、小さな中にアメージングな和風を詰め込んであるような楽しさ。
チェックインをすると、こちらですと案内された部屋は、やっぱり昨夜の俵山温泉山口屋別館同様、ありきたりな旅館の客室らしくない。
田舎にある大きな民家の客室に通されたような感じ。仏壇があっても驚かないぞ(無いけど)。
部屋は広く、余裕のある造り。窓は格子窓。床の間には香炉。座椅子には肘置き。
ただ、いつものように荷物を置くなり、さぁて館内やお風呂を探検して来ようと部屋を一歩出た途端、「何かご用でしょうか」と部屋の前に立っていた仲居さんが話しかけてきたのは困った。いや困りはしないが。
ここは旅館業よりも飲食店の方が本業のようで、この仲居さんもたまたま私たちの部屋の前を通りかかったわけではなく、割烹のお客様を案内するためにそこに立っていたようなのだ。
つまり、常にそこに立たれていると、何だかちょいちょい外に出るのがはばかられるというか、申し訳ないような気がする。
とりあえずお風呂だけ見てきた。
浴室は男女別に一つずつ。ただし、今夜の宿泊客は私たちだけなので、どちらも自由に使ってよいとのこと。
食事をするお客さんは多いようだが、泊る人が少ないのは本当なんだね。
予約の電話を入れた時も、バストイレ別だし、本当にうちに泊るんですか?という感じの応対だったものね。
外の看板にも「西京旅館」って書いてあるのに。