さっき十六羅漢岩から遠くに見えた風車群を過ぎて、まもなく湯野浜温泉。
ここはそれなりに大きな温泉地で、海岸沿いに大型旅館が立ち並ぶ。
以前日帰り入浴した濱福は再開するかも不明の長期休業中だし、共同浴場が二軒あったはずだがあちこち寄り道していたらあまり時間も無くなった。
今回は通り過ぎることにしよう。
そして温泉じゃないけどちょっと楽しみにしていた立ち寄り先、それは湯野浜温泉のすぐ近くの加茂にある鶴岡市立加茂水族館。クラゲの展示で有名だ。
「えっ、ここに寄るの?」
夫はちょっと嫌そうに言った。クラゲが嫌いなわけじゃない。クラゲが嫌いなのは家にいる長女だ。沖縄でハブクラゲに襲われたからね。
夫が嫌がったのは駐車場が混雑していたからだ。
それなりの大きさのある駐車場は整備員が整備しても整備しても追いつかないぐらいに混んでいて、幸いほとんど待たずに入れたが、とにかく混むのが嫌い、並ぶのが嫌いな夫は既に及び腰。
さらに車を降りて水族館の建物に近づくにつれて混雑は激しくなってきた。
バス停があって大勢の人が並んでいる。あとでわかったが、実は加茂水族館の駐車場は第三まであって、離れた場所にある第三駐車場への送迎を行うシャトルバスをみんな待っているところだったのだ。
つまり、GWで混雑しているといっても既に午後2時を回っているので、入場する人よりも退場する人の方が多い。だから私たちもすんなり駐車場に入れたわけで、午前中から来ていたらむしろ夫はあまりの混みっぷりに「入らない、やめやめ」と観光しなかった可能性も高い。
ある意味、学校の栖だの元滝伏流水だの十六羅漢だのあぽん西浜だの鳥海ブルーラインだのあっちやこっちで立ち寄りしてきたことが幸いだった。
「今回の旅行で初めてゴールデンウィークらしい混雑を見たよ」とは夫の弁。
チケット売り場も混んでいて、これでたいしたことなかったら、わざわざ寄った甲斐が無いとかまで口にしていた。