沢渡温泉でどこのお風呂に行くのか、事前に協議は無かったような気がするが、まあ普通に考えたら共同浴場だと思っていた。
旅館だったら一番有名なのはまるほん旅館だろうが、多分私以外はみんな入ったことがあるんじゃないかと思う。
それに確かまるほん旅館の有名なお風呂は混浴のはずだ。そうなると日帰りではいろいろと面倒くさい。
だからやっぱり共同浴場かな。
と思っていたら、何故かうつぼさんがすすーっと共同浴場の向かいの古そうな旅館に寄って行った。
興味津々で私やえんぴつさんやのび太さんもそちらに行ってみる。
うつぼさんはその旅館のドアを開けて中に入ると、出てきた女将さんに日帰り入浴の交渉をしたようだ。
「入れるって」
あっ、じゃあそっちに行くと言い出した私にパパは「はあー?」とあきれ返ったような声を出した。
パパは私の分も含めてもう共同浴場に入浴料を払ってしまったのだ。
ごめんごめん。でもどうせならまだ入ったことが無い方に入ってみたい。
共同浴場の受付の人は快く一人分の入浴料を返還してくれた。
向かいの瓦屋根の古い旅館は沢渡館という。
谷側の一階部分は古びているが、玄関や増築した上階の方はそこまでではない。
うつぼさん一人だと思ったらその後ろからどやどやと、さらに男女5人が入ってきたので女将さんは目を丸くしていた。
入浴料は300円。
こんなに沢山の人はいっぺんに入れないから順番に入ってもらうようかねぇと言う。
そこまでお風呂は小さいのか!?