1月5日(日)
昨日ちらほらと舞うだけだった雪は、夜の間に激しさを増し、朝になってもやむ気配は無かった。
朝、車にチェーンをつけにいってくれたパパは、これでどんな雪道でも怖くない。
熊の湯だろうが渋だろうがOKだと豪語していた。
のんびり朝食を取る。志賀高原プリンスホテルの朝食ビュッフェは、飲み物が豊富なのが嬉しい。コーヒー、紅茶、ミルク、ジュースなどのほかに、ホットチョコレートやハーブティも選び放題。
納豆はよくあるカップ式のではなく、既に味がついた状態で袋入りなのが新鮮だった。
あんまり雪がひどいので、今日は朝からどこかの温泉でも…と思ったが…。
子供たちは「雪遊び雪遊び!!」
まあせっかく、ゲレンデが目の前のホテルに泊まっているんだしね。
凄いですねー。
ここは雪の吹き溜まりではなく、朝、圧雪済みのコース上。
レナは膝までずぶずぶ。
驚くほど軽い雪で、膝まで埋まった足を蹴り上げてもまったく重さを感じない。
ソリも埋まっちゃって滑りやしない(笑)。
昨日は寒さのあまり、1時間も立っていると氷の柱になりそうだったが、今日は1時間も立っていたら雪だるまになりそうだ。
でもどんなに雪がひどくても子供たちは楽しいんだね。
今日も二人で夢中になって遊んでいる。
「カナ、カナ、雪がどんな形をしているか知ってる?」
「知らない」
「ほら、見てごらんよ。お星様みたいに角々がついてるでしょ」
「…ほんとだー!!」
こう寒いと温泉行かないと凍えちゃう。
帽子にすっかり雪が積もったので、そろそろ上がろう。
いったん部屋に戻って着替えてから電話を入れる。
「もしもし、
熊の湯ホテルですか? 今日は立ち寄りで入浴できますか?」
「12時半ぐらいから4時ぐらいなら大丈夫ですよ」
同じ志賀高原といっても、プリンスホテルのある焼額山から熊の湯までは10キロ以上も離れている。ちょうど両端なのだ。今、11時半ぐらいだから、準備して雪道を行けば、ちょうどいいくらいかな。
とにかく雪が凄くて昨日走った道でも、迷いそうだ。賑やかな一の瀬、高天原、発哺と過ぎて、蓮池で志賀草津高原ルートに入ると急にあたりは静まり返る。対向車もほとんどなく、陰影の無い白い雪道が続くばかり。木戸池でようやくホテルの建物と動いているリフトを見た。けれどここのリフトには誰も乗っていない。雪がひどいので、滑っている人も少ないのだろう。
木戸池を過ぎると地名が平床になる。熊の湯温泉ホテルは独自源泉だが、熊の湯周辺の他のホテルはほたる温泉という温泉地名で、平床から温泉を引いているところなどもあるようだ。
道々、「この辺、キツネが通ります」とか、「タヌキの親子が通ります」といった標識があり、子供たちは大喜び。
「タヌキの親子?」とカナ。
「タヌキのオナコ?」とレナ。
うーん…「親子」と「おなか」がビミョーに混ざっているぞ(笑)。
熊の湯ホテルは雪の中に忽然と現れた。
ロビーなど、どっしりとしたいい感じのレトロ感と、最新の快適さが混在していて面白い。二台ほどご自由にお使いくださいとネットに繋いだパソコンまで置いてある。
立ち寄り入浴料は大人1,000円(タオルつき)、子供600円だが、「お正月なのでお子様は見なかったことにいたしましょう」と、カナとレナの分をサービスしてくれた。
男湯は内湯と露天風呂が繋がっているようだが、女湯は一度着替えないと出入りできない。
寒いので、まず内湯をのぞいたが、スリッパが何組かあったので、先に露天風呂へ行くことにした。
こちらの画像は男性用露天風呂。雪見風呂が楽しめるが、ふきっさらしで猛烈に寒かったそうだ。
女湯はこちら。
5人くらいは余裕で入れる樽風呂になる。面白いし情緒も満点。但し、景色はほとんど見えない。
まず目を引くのは湯の色。素晴らしいグリーン。ちょっと岩手県の
国見温泉を思い出す。国見よりは僅かに沈んだ緑色だ。濁りはそれほどでもなくうっすらと足の先まで見える。白い細かい湯の花がかなり沢山ゆらゆらと漂って、足元にもうすく堆積している。
湯口から出る湯にはリズムがある。増えたり減ったりするのをカナは面白そうに見ている。
匂いは少し薬品くささもあるゆで卵臭。味は苦味の混じったゆで卵っぽい味。
きしきしもにゅるにゅるもしないが少しひりひりとくる感じ。温度は熱すぎずぬるすぎず、深さもそれほど深くないが、樽の縁が薄いので、子供たちは自分たちで出ることは出来ても入ることはできない。掛け湯をしたら、一人ずつ、抱きかかえて中に入れた。いいお風呂で、のんびり入ってしまった。
目隠しがあるので外の景色は見えないが、立ち上がればこんな感じ。この目隠しの向こうには、どうもプールがあるらしい。
前回の榛名湖旅行でレナが編み出した顔付け入浴法を彼女は今回もやったので、案の定、目が痛いと言い出した。そりゃそうだろう…。ここの湯はかなり刺激が強いもの。
露天風呂にはカランも何も無いので、内湯へ連れて行くことにした。脱衣所は別だが入り口はすぐ近くにあるので、子供たちは服を着せずにタオルを巻くだけで移動させた。
内湯も素晴らしいつくりだった。木造で天井には太い梁が通っている。床も湯の流れを考えて凹凸をつけた木製。すっかり黒ずんでいい色になっている。
湯は露天風呂より熱めで、色も露天よりかなり緑濁が強い。例えるならば、抹茶の色。湯の中に沈めた手足が見えないくらい濁っている。ここの湯の色は天候によっても濁り具合がかなり違うらしい。
飲泉用のひしゃくがあったので飲んでみた。露天風呂より苦味が強い気がする。
カナは一舐めしただけで眉間にしわを寄せたが、レナは美味しい美味しいと何杯も飲んでいた。これにはびっくり。
川原湯温泉はカナも美味しいと言っていたが、ここのは子供にはきついんじゃないか? レナはこのところ、どうも飲泉に凝っている(笑)。
カナは飲むより入るほうがいいらしい。レナは飲むのは気に入ったようだが、内湯にはあまり入りたがらない。どうして?と聞くと、「パチパチする」と言う。
露天風呂より熱いし、熊の湯の刺激的な泉質が肌に沁みるらしい。ひりひりとかピリピリとかじゃなくて、パチパチという表現がなかなか個性的だ。
とはいえこのままでは体が冷えてしまうので、もう一度露天風呂へ連れて行くことにした。露天風呂は「パチパチ」しなかったと本人が言うので…。
でもやっぱり「パチパチ」したらしい。入れたらすぐ自分で上がってしまった。
「とにかく10数える間だけでも入っていて!」と言って、10数えたら、数えているうちに体がなれて、パチパチしなくなったらしい。
結局、露天風呂、内湯、露天風呂と、子供たちは三回も入浴して、しかもさっぱり上がる気配が無い。いつまででも入っている。
最後の露天風呂は子供たちだけで入れて、自分は服を着たまま見ていたのだが、なんかこんなに気持ち良さそうに入られちゃうと、また入りたくなっちゃうね。
いやぁ、熊の湯、最高でした。
2003年の初湯にここに入れて本当に幸せでした。
…と落ち着いたところで、今まですっかり忘れていた。
明けましておめでとうございます。皆様、どうぞ今年もよろしくお願いします。
時間は二時半を回ってしまった。
熊の湯で昼食を取り損ねてしまったので、車の中から携帯で高天原温泉の志賀パークホテルに電話してみた。ちょっとここの露天風呂も気になっていたので。
しかし、既にホテルのレストランはランチタイムを終わらせているとのこと。立ち寄り入浴は午後8時くらいまで受け付けているということだけ聞いた。
振り返ると、チャイルドシートでレナが爆睡していた。たっぷり雪で遊んで、のんびりお風呂に入って、すっかりいい気持ちになったのだろう、空腹より睡魔が勝ったようだ。
これじゃ、例え志賀パークホテルのランチがやっていても、寄れなかったね。真っ直ぐプリンスホテルに帰ろう。熊の湯を別の温泉で洗い流しちゃうのももったいないしね、これで良かったんだろう。熊の湯で大満足しちゃったので、今日は一湯で十分。この充足感は、青森の
酸ヶ湯以来かも。
雪は益々激しく…。視界はホワイトアウト状態…。
ホテルについてもレナは寝たままだったし、時間も半端だったので、ママとカナだけでホテルのティーラウンジに行くことにした。
りんごジュースを飲んでちょっと寒いと言ったカナは、ママのセーターを着た。おっきいねー。
ケーキを食べたのは、レナには内緒だよ。
今日もいっぱい遊んだから、あとは部屋でゆっくりしようね。
雪は夜になってもまだまだ降り続いた。
明日また、車は雪に埋もれているかもしれない。
つづく