子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★☆☆☆ 泉質★★★☆☆ 湯は基本的には熱め。泉質は見た目ほど刺激無し
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★★★ 混浴露天風呂の脱衣所は赤ちゃん連れは厳しい
子連れ家族のための温泉ポイント
個性的な湯はとにかく印象に残る。
たとえば、強烈な臭いがするとか、湯の花が尋常ならざる量あるとか、本当に天然もの?とびっくりするような色をしているとか…。
国見温泉の凄いところは、その全てがそろっているところだ。
大都市盛岡から、一大観光地・風光明媚な田沢湖の南を通り、武家屋敷の残る城下町・角館を経由し、日本海側の秋田へ抜ける幹線道路がある。国道46号線。この46号線の、最も山深い辺りが、岩手と秋田の県境で、ここから駒ケ岳の方向に、旧道を20分ほど登ると国見温泉だ。
場所的には、それほどアクセスしづらいとは思えない。子供づれなら、盛岡から小岩井農場などで遊び、田沢湖や角館に行くのなら、ちょうど立ち寄るにも良い場所だ。
にもかかわらず、俗化されず、未だに秘湯らしさを保っているのはなぜだろう。
国見温泉への道を登ってみれば判る。
九十九折の急勾配は、ひとつカーブを曲がるごとに俗世間を離れ、緑深い沢を遥か眼下に臨みながら、ぐんぐんと高度を上げていくのだ。
国見温泉は元々、南部藩の湯治場であった。自家用車でアクセスできる今でも、冬季は閉鎖の不便な立地条件だ。当時は山道を行くにも難儀だっただろう。
道の先には、日本秘湯を守る会の石塚旅館と、もうひとつ、森山荘の二軒が立ち並ぶ。石塚旅館は宿泊するなら旅館部と自炊部が選べるそうだ。立ち寄り料金は、石塚旅館も森山荘も、大人400円と共同料金を定めている(訪問当時の料金設定)。
車を降りると既に強い温泉の臭いを感じる。硫黄の臭いと灯油臭が強い。
真夏でも空気はひんやりしている。
三角屋根の石塚旅館の入り口をくぐると、いかにも湯治場といった雰囲気が待っている。
生の湯の花を勝手に持ち帰らないようにと注意書きが貼ってある。ここの湯の花は量も半端ではないが、効き目も抜群なのだ。水虫などにも効果がある。
混浴大浴場、男女別の小浴場と、女性用の露天風呂もあるのだが、露天風呂の表示にしたがって進むと、混浴露天風呂へ通じる棟の出口についたので、そこに家族で入ることにした。
岩にすっぽりと囲まれるように長方形の浴槽がある。
最初に驚かされるのはやはりその色。
画像では抹茶のような色に見えるが、実際はかなり明るい目の覚めるようなグリーンで、磨いていない宝石の原石のよう(緑の湯にはその後、長野県の熊の湯温泉に入ったが、国見温泉の方が明るくて目立つ色だった)。
脱衣所は一応岩で外からも浴槽からも仕切られているが、男女の区別はなく、のぞこうと思えば外からもお風呂からでも見られてしまいそうだ。もちろん小さい子供や赤ちゃん向けの配慮などあろうはずもなく、連れて入るには、それなりの勇気と技術がいるだろう。
先客の男性が二人ほどいらして、本来かなり熱いという湯をぬるめて下さっていたので、子連れの我が家はありがたくそのまま入らせてもらった。泉質優先の方々から見ると噴飯ものかも。
駐車場まで漂っていた硫黄と灯油臭はさらに強く、なめると非常に苦味のある味。
色は鮮やかな緑色だが、にごりはそれほど強くなく、足元は見える。ただ、どっさりと堆積した粉状の湯の花が体を動かすたびにはらはらと舞い上がり、湯が緑濁する。子供は面白がって、すくっては散らしすくっては散らしていた。
東北旅行最初の混浴だったが、とても感じの良いところだった。