3.鄙びた山あいの温泉地
本当のところ、嶽心荘で夕食が取れると思いこんでいた昨日は、角間温泉にも入れるかもしれないと思っていたが、プランが消えてしまった今ではそのことはほとんど諦めていた。
意外な展開。
それではどこの宿のお風呂がお勧めでしょうと問うと、鍵があるので外湯に入れますという有り難いお返事。
ただ、急な話で安代館の所有する角間温泉の鍵は今回持ってきていなかったということで、若女将さんが土産物屋で、
安代館の名で鍵を借りて下さることになった。
角間温泉というのは旅館が6軒しかないごく小さな温泉地だ。
嶽心荘が作られたのにも、この鄙びた角間温泉に著名な画家を招いて発展させようという意図があったとされる。
渋や湯田中といった著名な温泉地と違い、ひっそりと静かに佇んでいた角間が、今、密かに脚光を浴びているという。
アトピーに効く温泉としてテレビなどで紹介され、活気を取り戻しつつあるというのだ。
雨にぬれる
角間大湯は不思議な存在感を醸し出していた。
大湯の周辺はちょうど古めかしい木造の宿が並び、そこだけ違う時代の写真から切り取って貼ったような感じだ。
傘を差して軒下へ移動する。
若女将さんはまず男湯を、続けて女湯の鍵を開けてくれた。
そうしてお別れの挨拶。
本当にお世話になりました。そして今日は雨の中わざわざ別館をご案内いただき、外湯の鍵も貸して下さり、本当に感謝しています。
どうもありがとうございました。