思ったよりずっと天気が良く、薄く紗を掛けた白い雲が少しあるがほぼ青空。
秋山郷は中津川渓谷に沿って伸びる国道405号線を生命線として両側を山に挟まれた谷間に伸びる集落の総称だ。
津南から逆巻、結東などを経て大赤沢のあたりまでが新潟県津南町。
その先小赤沢、屋敷、和山、最奥の切明までは長野県栄村となる。
冬季閉鎖で不安定な林道が二本ほどあるにはあるが、小赤沢から先のエリアは、基本的には新潟県を通らないと他の長野県の土地に出られないような立地で、何故ここが新潟じゃなくて長野になっているのか不思議に思っていたほどだ。
途中途中に石切り場、大型の宿泊施設や特産品を売る小さなショップなどは見えたが、だんだんと辺りの景色は秘境らしくなってきて、昨夜の問答を思い出し、ここで生活する人は何を思ってこの地を選んだんだろうとそんなことを考えさせられた。
雪で雑魚川林道がまだ閉鎖されているとは言っても、山の上の雪はほとんど融けている。この季節だからまだいいけど、冬は本当に移動するのも大変なはずだ。
雪深い土地の苦労についてはこの栄村からも近い飯山出身の母から私は時々聞かされて育った。
車が停まったのは小赤沢温泉 楽養館。昨日、のび太さんやうつぼさんが、インパクトのあるお湯、ただし、これが秋山郷でイメージする一般的なタイプのお湯だと思っちゃいけない、むしろここだけ特殊だと思った方がいいと言っていた温泉。
ぐるりと外壁に秋山郷の四季をプリントしたパネルが貼られていて、そこがちょっと山の中の温泉と言うより安っぽい観光地みたいに見えちゃって残念。
よく見ると建物はいい感じの木造で、屋根だけが高級感なくぴかぴか光っちゃっているが、鋭角に突き出したつやつやの屋根の形は雪を滑り落とさせる世界遺産の合掌造り風で、秋山郷が日本有数の豪雪地帯であることを思わせる。