その山小屋みたいな三角屋根の建物が受付兼食堂になっていて、お風呂はそこから渡り廊下で繋がった別棟。
屋根のかかった渡り廊下は、ちょうど道路に面しているのとは逆の方向の窓が日よけで隠されているが、その隙間を覗き込むと、まるでアルプスの少女ハイジの背景みたいな夏山と緑の野の光景が広がっていた。
浴室の前には狭いスペースを利用した屋根裏みたいな休憩場所があり、やけにそのあたりの畳や板張りの床や壁は新しく綺麗だ。
男性が一人そこでコンパクトカメラを構えて写真を撮っていたが、ちょっ、足元!!
細いが結構長い蛇がにょろにょろと。
「蛇~っ」ビックリして声を上げる。
蛇は移動しようとしているが、とにかく磨き上げられた床が滑りすぎるのか、思ったように前に進めない。
私たちはそのあと女湯に入ってしまったが、男湯の人たちの話によると、男湯の入り口でしばらくとぐろを巻いていたそうだ。
脱衣所は広くないが、籠の置き方など洒落ている。籠もプラスチックではなく藤製だ。
脱衣所の隣に涼めるようにベンチを置いてある場所があるが、そこからは、さっき渡り廊下で見たあの景色が見えるようになっている。