2.なにをどうしたらこの混雑
雲海閣から
元湯鹿の湯までは車ならほんの1分程度。
しかし、鹿の湯駐車場の手前まで来て呆れてしまった。
この時点で朝8時5分。
鹿の湯がオープンしたはずの8時から既に5分過ぎているのでもう一番風呂はとても無理だろうと思ってはいたのだが・・・。
なんじゃこりゃ。
30台ほど停まれるはずの駐車場は満車であるだけでなく、路肩あたりまで車がはみ出している。
これみんな鹿の湯の客?
逡巡した。
行くべきか行かざるべきか。
これじゃ行っても仕方ないんじゃないの? と、頭の何処かでささやく自分がいる。
風呂場だってとてつもなく混んでいるに決まっている。
混んでいる鹿の湯にわざわざお金を払って入るくらいなら、雲海閣のお風呂を独り占めしていた方が何倍もマシだろう。
またそのうちに那須はゆっくり再訪したい。
だからそのときまで鹿の湯は取っておいた方がいいんじゃないか?
何しろ初めて入る最初だけの感動というものがあるんだから、無理して今、その最初のチケットを使い切ってしまうことはないんじゃなかろうか?
うー・・・。
でも結局温泉好きはこう言ってしまうのだ。
「私一人でさっと入ってくるから」
「もちろん一人で行ってきて。俺は行かないから」
あっ、最初からそのつもりだったんですか?
まあいいや。
それ以上深く考えずにタオルをもって車の外に飛び出した。
また雨が少し降っている。
パパは殺生石の駐車場を指さして、あそこに車を停めて待っているからと言った。