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那須の紅葉旅

1.九尾の狐伝説と殺生石



二日目 2005年10月23日(日)


 その昔、玉藻の前なる絶世の美女が時の支配者、鳥羽の院の寵愛を受け、やがては国を滅ぼそうとしたと、謡曲殺生石にうたわれる。
 正体を現した玉藻の前は、白面金毛九尾の狐の姿となり、那須へと逃れ、ついには魔力を持つ矢にて討ち果たされる。
 死してなお、九尾の狐の妖力は衰えず、石となった後も瘴気を撒き散らし、源翁和尚なる高僧に三つに砕かれた今も、石の置かれる辺り一面草木も生えぬ白い地獄の様相を呈している。
 これが那須湯本に伝わる九尾の狐伝説と殺生石の謂われだ。
 あの松尾芭蕉もおくのほそ道で「蜂蝶のたぐひ真砂の色の見えぬほどかさなり死す」とその光景を詠んでいる。
 つまり昆虫などが近寄るとみんな死んでしまうという、硫化水素などの毒ガスが噴き出し続ける那須湯本の様子を表している。

 まあとにかく九尾の狐のおかげで那須湯本温泉が湧いているわけだ(ちょっと違うか)。
 那須湯本の共同浴場 元湯鹿の湯は、その殺生石から道を渡った谷間にある。
 今泊まっている雲海閣の硫黄泉浴槽と同じ、鹿の湯・行人の湯混合源泉のはずだが、せっかく那須湯本に来たのだから一度は入ってみたい。


朝ご飯も窓辺で お天気は今朝もいまひとつ


 朝風呂は鹿の湯と決めていたので雲海閣のお風呂には入らなかった。
 というよりも、起きられなかったという方が正しいかもしれない。
 昨日は1日朝から晩までハードに過ごしていたし、夜中も雷鳴と屋根に当たる雹の音でよく眠れなかったのだ。
 朝には空も大人しくなっていたが、それでも太陽は顔を出さなかった。

 朝食はパンに昨日のローストビーフを挟んで。
 粉末のコーンスープもある。
 パパはコーヒー、私は紅茶。
 食べ終わったら急いで荷物をまとめてチェックアウト。
 昨日は年輩の女将さんの姿しか見なかったので、もしかしてこの宿は女将さんの足腰が立たなくなったら閉めてしまうんじゃないかなどと不届きな話をパパとしていたのだが、今朝は帳場に若旦那の姿も見えた。
 にこにこと感じの良い若旦那は、幼稚園のお子さんの分は結構ですよと、三人分の宿泊料しか受け取らなかった。
 もともと食事無しの素泊まり。料金は寝具や浴衣の分だけなのだから、年齢に限らず四人分使わせてもらったのにいいんだろうか。
 「どうぞお気をつけて」
 女将さんと二人並んで玄関で見送ってくれた。
 「またきっと泊まりに来ます」
 子供たちもここがとても気に入ったと言っているし。
 「ぜひいらして下さい。お待ちしています」

 玄関脇に停めておいた我が家の車は何故か一晩で、針状の松の枯れ葉だらけになっていた。
 落葉樹でもあるまいし、なんでこんなに葉が落ちてきたんだろう。
 しばらく考えてようやく判った。
 昨夜の雹が松の葉をたたき落としたのだ。


またきっと来るね、雲海閣




2-2.なにをどうしたらこの混雑へ続く


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