外に出ると既にパパが待っていた。
「どうだった?」
「いやー、熱かったよ。さすが飯坂。えらい熱くてそれでも我慢して入っていたら、地元のおじちゃんに、兄ちゃん、あんまり熱かったらうめてやろうか、なーんて言われちゃったよ」
可笑しい~。
でも、男湯は熱かったの?
「・・・女湯は全然熱くなかったよ。浴槽の所に蛇口もないし、カランの所にホースもついていなかったから、絶対加水していなかったと思うけど・・・」
そう言えば昨夜の
新飯坂のお風呂でも、パパは男湯は激熱だったと評していた。女湯はまったく熱くなかった。
まさかと思うけど・・・。
「変なのは温度じゃなくて、私の方か? まるっきり熱くないんだよ。なんか二、三杯掛け湯しただけでするっと入れちゃって、入っている間も別に熱くない。変かな? 変だよね。もしかして6月に
草津で時間湯して、体の温度センサーが壊れちゃったとか?」
新飯坂に戻ると、さっきの従業員のお兄さんがまだ玄関を清掃していた。
「入れましたか?」
「はい、おかげさまで
八幡の湯に入れました。ところでこの旅館って自家源泉なんですよね?」
「そうですよ。入り口の橋を渡って30メートルぐらいのところで汲み上げています。でも自家源泉と言ってもね、飯坂の源泉はみんな地下で繋がっているからそんなに違わないです。実は各旅館がお湯を使う夕方などの時間帯になるとね、とたんにこちらでもお湯の出が悪くなるんです」
あはは、可笑しい。いや、可笑しくない。これは温泉資源の枯渇にも関する大事な話だ。源泉は大切に使わねば。湯水のようにと言う言葉があるが、決して無限ではないのだ。明日にでも使い切って枯れてしまうかもしれない。