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滑川温泉湯治日記5-6


6.お湯もお風呂も極上なり

 小さな庭のようなスペースがあり、木造の湯小屋があった。
 浴室との間を遮る戸の下の方に一律に隙間が空いており、そこから絶え間なく湯が流れてくる。
 だから三和戸を上がったところに簀の子が敷いてあるのだ。廊下の床一面に湯が流れているから。

 カナとレナを連れて脱衣所に入ると使用中の脱衣籠がひとつ。先客がいる。
 早速子供たちをぬがせて中に入ると、度肝を抜かれた。

 これはすごい。
 確かに広い浴室ではないけれど、木組みの天井、黒々とした石の浴槽、三本の打たせ湯が滝のように落ちていて、溢れる湯は段差のない浴槽の縁からさざ波を作り後から後から贅沢に流れていく。

 この浴室には、風格とセンスがあるのだ。

 ここに匹敵するのは法師温泉長寿館の法師の湯ぐらいか。


白布温泉西屋旅館


ここのお風呂には久々に感動しました


 お湯はかなり熱めで、高いところにある小さい浴槽にダイレクトに注がれ、ここから溢れた分の一部と、三本の湯滝から大きい方の浴槽に流れ込むようになっている。
 先客の女性が既にホースの冷水をどぼどぼ入れていたので、低い大きな浴槽のお湯は適温になっていた。薄まっているがこれなら子供たちも入れそうだ。

 湯小屋が薄暗いのでお湯の色はよく判らない。お湯の流れるところは石でも木でも墨のように真っ黒に染まってしまっているので、お湯も黒々と見えるが透明なのかもしれない。白っぽい湯の花がふわふわと漂っている。湯中ではきしきしと来る肌触り。臭いや味は強くない。

 加水しない高いところの浴槽にも入ってみようとしたが、流石にあまりに熱くて手を入れるのがやっとだった。
 仕方なく湯滝にあたってみる。これでもひりひりするほど熱い。

 先客はすぐに上がってしまわれたので貸しきりになった。
 パパが子供たちを呼んだ。
 いそいそと男湯に出かけたカナとレナはすぐに女湯に戻ってくる。
「あっちは熱かったよ」
 別に露天風呂も広いお風呂もジャグジーもないけど、何故か二人ともここがとても気に入ったようだ。なかなか上がりたがらなかった。

 帰りがけに無料パスポートのスタンプ帳を受け取った。
 今度は女将さんが出てきて、昨日まではゴールデンウィークで大混雑だったけれど、今日からは静かでいいですよと仰った。
 いつか泊まりで来てみたい宿だ。
 また来ますと伝えて後にした。
 茅葺き屋根の維持は本当に大変だと思うが、次に来るときまでこのままの風情を保っていてほしい。






5-7.西吾妻スカイバレーへ続く


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