3.龍神の湯と縄文の湯
鮮魚センターでちらりとのぞいた青空は、出し惜しみするかのようにすぐに引っ込んでしまった。
小雪のちらつく中を
清津峡・瀬戸口方面に至る353号線を行く。
117号線にぶつかり、左折。空はどんより灰色だ。
津南町の
龍神の館に到着したのは9時55分。
まだオープンまで5分ほどあるので駐車場でちょっと雪遊び。
カナもレナもお風呂に入らないで雪遊びがしたいと言う。
でもねぇ、これから行くところはもういくらでも雪があるんだよ。嫌になるほどあるはず。
なだめすかしてオープンと同時に入館。
雪はかなり激しくなっていた。
龍神の館はドイツか北欧風のカラフルなログハウスで、館内はまだ空いている。
休憩室の場所だけ確認して浴室へ向かうことにした。
脱衣所で子供たちが自分たちで脱いでいると、地元のおばあちゃんが「めんこいめんこい」と言ってくれた。
「このあたりのもんでねぇなぁ、どっから来た?」
「東京からです」
「泊まりか?」
「ええ、松代の方に」
思ったより浴室は広くなかった。
龍神の館の名前通り、女湯の湯口は竜の首。男湯もそうかと思ったらそちらは国宝火焔土器の形をしていたという。
後から知ったが竜の口から湯が出る浴室は龍神の湯、土器から湯が溢れる浴室は縄文の湯と名付けられていて、日によって男女交代になるらしい。
臭いはうん、松之山によく似ている。強い灯油の臭いに少しゴムのような焦げた臭いがする。味もしょっぱさの中に苦みがある。でもどちらも松之山に比べればマイルドだ。
カナが外のお風呂に行きたいと言ったので露天風呂に出てみることにした。
隣にいたおばさんが「外は寒いよう」と笑っていた。