7.黄昏の関越道
塩沢石内ICで関越道に乗ると、長い関越トンネルを抜けてあっという間に群馬だ。
パパは水上でセンター系はどうかと言っていたが、水上・沼田の辺りはまだまだスキー客が多いのではないだろうか。
湯沢ほどではなくても谷川や沼田・片品方面にもいくつもスキー場がある。
それにこの辺りで行ったことがないセンター系の温泉というと、
湯テルメ谷川しか思いつかない。
確かここはいつ行っても大混雑の人気施設じゃなかったっけ。特に冬はスキー帰りの客で駐車場にも入れないかもしれない。
利用客の人数と、施設のキャパシティの釣り合いがとれていない場合、恐ろしいことになる。
かといって猿ヶ京方面など向かえばこれまた苗場など三国街道沿いスキー場からの帰宅組がどっと押し寄せているに違いないし。
「どの辺から渋滞が予想されるの?」
「高崎か藤岡JCTからだろう」
そうすると、その手前で降りて時間をつぶせるところならいいのね。
「前橋に一年ぐらい前にできた大きなセンター系があるはずだよ。前橋まで戻ればスキー客もいないだろうし、キャパシティーも十分あるはず」
「じゃ、その手で行こう」
ところが予想に反して、なんと月夜野からいきなり渋滞が始まってしまった。
空はそろそろ夕焼け色に染まっている。
じりじりと沼田までのろのろ運転を続けていたが、ついに耐えきれなくなったパパは、昭和ICで一般道に降りてしまった。
しかし、考えることはみな同じ。
利根川に沿った17号線は、子持山と川に挟まれて迂回路もほとんどなく行楽帰りの客でぎっしり。失敗した・・・とパパは溜息をついた。
もう一度地図を睨む。
行き先は前橋市の荻窪町。
黙ってカーナビの指示通り17号線から行くのではなく、赤城山麓の道を通った方がいいかもしれない。
赤城ICの近くで東へ入り、
富士見温泉見晴らしの湯などのある道を行くのだ。絶対空いているし、道も悪くないはず。
この道は正解だった。
何より夜景が綺麗だった。
利根川の作った扇状平野、前橋や高崎の灯りが光の海のようだった。