子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ お湯はぬるめの浴槽も、泉質は特に刺激なし
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★☆ ベビーベッド有り、休憩室有り、但し冬季は混むことが多い
子連れ家族のための温泉ポイント
その美しく厳しい山容で知られる谷川岳には女神伝説が伝わる。
天孫であるニニギノミコトの妻、富士山の神、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)が富士より飛来し、谷川の水で裾を洗ったところたちまち川の水はお湯に変わったという。
「御裳裾の湯(みもすそのゆ)」と呼ばれたそのお湯こそが、美女で知られる神の名に恥じない美肌の湯となった。これが谷川温泉の由来だ。
谷川温泉は大きな旅館が建ち並ぶ水上温泉のその奥にある。
道の駅・水紀行館の辺りまでは以前紅葉の季節に来たことがある。そのときは宝川温泉に向かったので谷川方面には行っていない。
水上に比べると小さな温泉街で、いくつかの旅館とペンションなどがある他は、日帰り専門の施設はこの町営の湯テルメ谷川しかない。
途中までは湯テルメの看板がわかりやすいところにいくつもあったが、狭い谷川の温泉街に入ったとたん判らなくなった。
とりあえず引き返し、金盛館の前を通り少し走ったところで小さな看板を見つけた。
湯テルメ谷川と書かれているがいかにも見過ごしやすいし、示された道もとても細い。
覗き込むとようやくそれらしい三角屋根の建物が見えた。
ばしゃばしゃと冷たい雨が降る中、車を降りて湯テルメ谷川の入り口に駆け込んだ。
入って直ぐ左手に受付があり、目の前に男女別の暖簾。休憩室は二階のようだ。
スキーシーズンの週末など信じられないほど混雑すると聞いていたが、なるほど駐車場も小さいし、このキャパシティではきつかろう。
今日は平日だし雨模様だから、スキーヤーも少ないのではなかろうか。
浴室もこじんまりとしていた。
内湯は三つ浴槽があり、窓に面した一番広い浴槽に張られているのがアルカリ性単純温泉の不動の湯だ。浅くて割に熱め。
その向かいに小さめの浴槽が二つあり、一番小さい浴槽に張られているのが蛍の湯、単純温泉で冷たく感じるほどにぬるい。
隣の蛍の湯より少し大きいだけの浴槽は河鹿(かじか)の湯、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉。お湯の温度はほとんど体温と同じくらい。
この湯テルメ谷川は三つの異なる源泉を引いていて、いっぺんに楽しめるのがお得なのだそうだ。
とはいえ、この三つ、泉質名は違えどそれほど印象に違いはない。臭いもごく弱い濁った油の臭いで、薄い塩味がするかしないか。一番顕著なのは肌触りで、石膏泉らしいぎしぎし感がある。
露天風呂は階段を下りていく。
階段には屋根がついているが、足下の石段が痛くて寒くても速くは降りられない。
雨模様なので露天風呂に屋根があったら良いなと思っていたが、残念ながら本当の露天風呂だった。
岩風呂で結構広い。
正面が谷で、ちょうど雪の斜面が見えて綺麗。これは相当な景観のお風呂だ。人気があるのも頷ける。
しかし思いっきり雨が降っているので湯面にじゃぼじゃぼと雨の飛沫が上がっている。
先客がいたが、あまりに雨が激しいので早々に退散してしまった。
この露天風呂は三つの源泉を混合して使っているそうだ。お湯は適温。眺め良し。これで雨さえふっていなかったらもっとくつろげるのに残念。
それでも子供たちは貸切状態に満足してずいぶん長いこと露天風呂を占領していた。
湯上がりの肌はさらさらになっていた。
ここに来る前に立ち寄った大沢山温泉のようなつるつるすべすべではない、パウダーをはたいたようなさらさらだ。
この湯(水)で足をぬらした女神様も、きっとこの肌触りに感激したことだろう。