◆がんばれ新潟　雪国のお正月◆2-4

4.ボイラー故障中

　一枚板の看板はいい味を出しているが、建物は工事現場の事務所みたいな仮設プレハブ建てだ。ちょっと群馬の月夜野温泉三峰の湯を思い出す。
　外側にお金を掛けていないところは良いお湯に入れるはずだ。循環装置より、豪華浴室より、まずお湯ありきだからだ。
　入り口の前まで来て、失敗した・・・と思った。
　手持ちの資料では朝10時オープンとなっていたが、入り口のドアに営業時間は昼12時から夜7時までと張り紙がある。最近変更になったものか、季節的な変動なのか、とにかく今はまだ10時半、12時まで子供を連れて所在なく待つわけには行かない。
　いかにも知っている人しか来ないような鄙びた温泉前で停まっている東京ナンバーを見て、中から出てきた施設の女性が「温泉に入りに来たんですか?」と聞いてきた。
　「12時からだったんですね」
　「それに今日はボイラーが故障して入れないんです」
　「・・・」追い打ちかぁ。

　しゅんとなった私を見て、パパは写真だけ撮らせてもらえば?と言った。
　うう、マニアまるだし。
　でもせっかく来たんだもんなぁ。証拠写真ぐらい持って帰りたいよな。
　先ほどの女性にお願いして、中の写真だけ撮らせてもらった。
　木の壁の浴室に、シンプルな長方形の浴槽。
　栓を開けて完全にお湯を抜いてあるが、湯口からはじゃぼじゃぼと源泉が垂れ流されている。
　ちょっと味見。
　そのまま入るにはかなりぬるい温度で、思わず顔がほころんでしまうような、ゆで卵の臭いとしゅわっと来るような甘めの炭酸味。
　これはきっと入ったら泡がつくだろうなぁ。
　夏場に加熱しないで入ってみたいな・・・。
　もう次はこのルートをいつ通れるか判らない。
　今回入れなかったのは本当に残念無念。