5.絶景雪見露天風呂
寒い寒いと言っていた子供たちも、脱衣所でホッと一息だ。ストーブがついていてとても暖かい。冬場、山の中の温泉に行くととにかく脱衣所って辛いものだけど、ここはこんなところも気が利いている。
外に出て、うわぁ、やっぱり馬曲は凄い。
あのときは夏だったけど、今は一面銀世界だ。雪を被った山と谷、しんしんと舞い降りる粉雪。
掛け湯をしたら、うっ、塩素くさっ。
これだけが玉に瑕。
冷え切っていたので最初は熱く感じたが、実際は少しぬるめぐらいの適温。
湯気でぬれた髪の毛の先がだんだん凍り付いて白くなる。
いいなぁ、
馬曲温泉独占。
少し黄色みがかった透明のお湯で、肌当たりは柔らかい。湯上がりには僅かにコーティングされたようなすべすべ感が残る。
いやはや、この露天風呂が気に入ったカナとレナがどれだけ出ようとしなかったか。
何しろ貸し切り状態だったので、半分雪遊びだ。
温まって、それから出て雪だるまを作り、冷えるとまた入って温まる。
のぼせるとまた出て、洗面器に雪を入れ、それを岩にディスプレイする。
母は付き合いきれず、早々に上がって服を着たものの、いつまでもお風呂で遊んでいる二人を監視しているうちに、あまりの寒さに再び服を脱いでお湯に入る羽目になった。
ようやく「パパが心配するから出ようよ」と諭して服を着せたのは、お風呂に入りだしてから一時間半近く経った後だった。
当然とっくに上がって休憩室でおでんを摘んでいたパパは、完全に呆れ顔だった。