子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★★ お風呂は適温、泉質は特に問題無し
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★★ 脱衣所にベビーベッド有り
子連れ家族のための温泉ポイント
いくつも温泉に入ってお気に入りは沢山できたが、それでも特別の思い入れのある温泉はそう多くはない。
例えば滑川温泉福島屋しかり、二岐温泉大丸あすなろ荘しかり。
ここ、馬曲温泉もそのひとつ。
馬曲温泉に出会わなかったら、きっとこんな風に温泉を巡ったり、このウェブサイトを開設したりすることもなかっただろう。
あれは何年前のことだったか。
私たちにもまだ子供がいなかったから10年近く前だと思う。季節は夏だ。雑誌の懸賞で、斑尾のペンション一泊とジャズフェスティバルの入場券を当てたのだ。
ペンションに到着して、どこか近くに立ち寄りできる温泉はありませんか?と、うかがったところ、馬曲温泉を教えてくれた。
斑尾からだとはるばる山道を下って、飯山市街を抜け、また山道を登らなくてはならないのだが、遠い道を来る価値は十分にあった。
露天風呂からは遮る物無く、山々を見渡すことができ、こんな最高のお風呂に入ったことはこれまで無かったと感激しきり。
作られた景色ではなく、手を伸ばせばそのまま大自然の風景。しかも女湯でもまったく囲いがなく開放感に溢れている。
これが本当の絶景風呂というものだろう。
時間も忘れて入浴したが、出てみると、日頃は先に上がって待っているはずの夫は更に長湯だった。
さて、何でも最近の馬曲温泉について聞こえてくる噂は、芋洗いのように混んでいる、強烈な塩素臭がする、名物おじさんがいてCDだかなんだかを勧められるらしいなどなど。
本当にそれって私の知っている馬曲温泉なんだろうか。
確かめるべく再訪してみた。
小雪の舞う年の瀬のことだ。
馬曲温泉の男湯と女湯は水車小屋のところで左右に分かれる。
内湯もあるのだが、離れているので一度服を着ないと移動できない。後で様子を見にいったが、先客がいたので遠慮することにした。木造で雰囲気の良い浴室だが、やはり馬曲といえば露天風呂に尽きるだろう。
子供たちは女湯に着いてきた。
薄く雪のつもった階段をはしゃぎながら下りてくる。
ところでこの馬曲温泉の露天風呂というのは男湯より女湯の方がかなり広くできていることを知っているだろうか。その理由は、男湯はとうちゃんの分で、女湯はかあちゃんと子供の分ということらしい。ちなみに眺望はどちらも引けを取らない絶景(画像上から二番目は女湯、三番目と四番目は男湯)。
一昔前なら、広いのも景色がよいのも凝った作りなのもみんな男湯というのがお約束だった。
なんだかちょっと嬉しいじゃない。
寒い寒いと言っていた子供たちも、脱衣所でホッと一息だ。ストーブがついていてとても暖かい。冬場、山の中の温泉に行くととにかく脱衣所って辛いものだけど、ここはこんなところも気が利いている。
外に出て、うわぁ、やっぱり馬曲は凄い。
あのときは夏だったけど、今は一面銀世界だ。雪を被った山と谷、しんしんと舞い降りる粉雪。
掛け湯をしたら、うっ、塩素くさい。
これだけが玉に瑕。
冷え切っていたので最初は熱く感じたが、実際は少しぬるめぐらいの適温。
湯気でぬれた髪の毛の先がだんだん凍り付いて白くなる。
いいなぁ、馬曲温泉独占。
少し黄色みがかった透明のお湯で、肌当たりは柔らかい。湯上がりには僅かにコーティングされたようなすべすべ感が残る。
いやはや、この露天風呂が気に入った子供たちがどれだけ出ようとしなかったか。
何しろ貸し切り状態だったので、半分雪遊びだ。
温まって、それから出て雪だるまを作り、冷えるとまた入って温まる。
のぼせるとまた出て、洗面器に雪を入れ、それを岩にディスプレイする。
母は付き合いきれず、早々に上がって服を着たものの、いつまでもお風呂で遊んでいる二人を監視しているうちに、あまりの寒さに再び服を脱いでお湯に入る羽目になった。
ようやく「パパが心配するから出ようよ」と諭して服を着せたのは、お風呂に入りだしてから一時間半近く経った後だった。
当然とっくに上がって休憩室でおでんを摘んでいたパパは、完全に呆れ顔だった。
眺望といい、施設の人の好感度といい、文句無し。
また来たい、人にも勧めたいと思うような温泉が変わらずあるのは喜ばしいことだ。