「それにしても
日進館まで来るのは遠かったです。くねくねと廊下を歩いて二回もエレベーターに乗って・・・」
「あら、外を通った方が近いわよ」
「えっ、他にも行き方があるんですか?」
「私も今上がるから一緒に帰りましょう。雨でもなければ外を通る方が気持ちがいいわよ」
他に本館と日進館を結ぶルートがあるとは知らなかった私は、その方と一緒に湯上がりの散歩をしながら戻ることにした。
日進館を出ると、私が最初に来たゆけむり荘の方角とは逆の方にその方は歩き出した。
真っ直ぐ歩くと小さな祠がある。そちらには行かず、すぐに左へカーブした上り坂を登った。
空は曇っていたが雨は降っていない。
涼しくて、湯上がりの散歩にはちょうど良い季候だった。
日進館の建物を下に見ながら坂を上りきってすぐに、
露天風呂極楽湯の入り口がある。
さらに歩くと
万座温泉ホテルの正面玄関が見えてきた。
なんだこんな位置関係になっていたのか。
案内してくれた年輩の女性にはお礼を言って、フロント前で別れた。
後でyuko_nekoさんに外から行った方が近いんだねと言ったら、あっさり「そうだよ」と言われてしまった。
私が部屋に戻っても、まだyuko_nekoさんとがっちゃんは休んでいるようだった。パパは一番近い長寿の湯に行ってきたところだった。子どもたちは仲良く三人で遊んでいる。
ふと子どもたちがお腹が空いたから卓上にあるお饅頭を食べても良いかと言いだした。
ここは四人分で予約した部屋だからお饅頭も四つ。
ちび姫ちゃんは考える。ここで子供三人が三つ食べてしまうとこの部屋の家族は一人お饅頭を食べられないし、自分の部屋のお饅頭はひとつ余る。
「別に三つ食べていいよ。後からちび姫ちゃんのママ(yuko_nekoさん)からひとつもらうから」と私
「でも・・」とちび姫ちゃん。「うちのお饅頭がひとつ余っていたら、もしかしたらパパ(がっちゃん)が全部食べちゃうかも」
そ、そうなの?
「い、いいよいいよ、そうしたら私がそのうちがっちゃんに何かおごってもらうから」
さらに考え込んだちび姫ちゃんは、自分の部屋に戻って自分の分のお饅頭をひとつ持ってきた。
「これで大丈夫だね」
ところが後でyuko_nekoさんがお饅頭がひとつ足りないことに気づき、がっちゃんに「あなた、食べたでしょー」とあらぬ疑いを掛けたらしい。
「食べてないよ~」とがっちゃん。そりゃそうだ。
yuko_nekoさんはその手のお饅頭はちび姫ちゃんが食べないと思ってがっちゃんを疑ったようだ。ちび姫ちゃんも普段なら食べなかったかもしれないが、カナやレナが食べたいというので自分も食べたくなったものらしい。
なんかソフトバンクのCMみたい。