私たちの部屋とyuko_nekoさんたちの部屋は隣同士だ。
流石にゆけむり荘ではなく別館のお部屋に案内してもらえただけあって、部屋はそこそこ広くとても綺麗だ。冷蔵庫があるのも有り難い。
yuko_nekoさんとがっちゃんは疲れたので一休みしたいと横になっていた。
子どもたちは早速玩具を広げようとしていたので、大人の休息部屋と子供部屋を分けようと提案して、子供三人は私たちの部屋に連れていった。
私は、というとまだまだ元気が余っていたのでまたまたお風呂に行くことにした。
万座温泉ホテルには沢山お風呂がある。入れるときに入れるだけ入っちゃおう。
そこでまず私が向かったのは
日進館だった。
日進館というのは現存する万座温泉の温泉宿の中でも最も古い旅館の名前で、いわゆる万座温泉ホテルの一部なのだが、今は一部の浴室のみが残っているだけだ。
以前はここに苦湯、鉄湯、ラジウム湯、真湯、滝湯と様々なお風呂が揃っていて、中でも苦湯は名湯中の名湯とうたわれ多くのファンがいたようだ。
しかし2001年の鉄砲水により大きな被害を被り、今は鉄湯とラジウム湯の二つだけが男女日替わり浴室として残されている。
そして私は2003年の年末に日帰りで訪問したときには鉄湯しか入れなかった。今日はもう一つのラジウム湯が女湯になっている。これはゆっくり入ってくるしかないぞ。
最初にするべきことは現在地と目的地の位置確認だ。今いる万座温泉ホテル別館から日進館に行くにはどう行けば良いのだろう。
部屋の卓上にあった宿泊約款のファイルなど見てみた。
館内図は載っていない。
それならと、廊下に出てみた。エレベーターまで行けば判るかもしれない。
エレベーターの所に行き方が書いてあった。えーと、このエレベーターで1階まで降りて、カーペットに記された緑のラインに沿って進む・・・と。
エレベーターで1階に降りると何だか場末のつぶれ掛けたゲーセンみたいなところがあり、うす暗い廊下が曲がりながら延びていた。2階のフロント前とはずいぶん雰囲気が違う。
緑のラインを信じて進んでいくと、やがて別のエレベーターの前に出た。
えーとなになに、このエレベーターで1階に降りてさらに進め?
あれ、今いる場所は1階じゃないのか?
建物が斜面に建っているので、万座温泉ホテル本館からゆけむり荘のエリアに入ったときに、いつの間にか1階が3階になっていたようだ。
とにかく指示に従ってさらに下に降りるしかない。私はエレベーターで下った。
まだまだ日進館にはつかない。
途中で廊下は二手に分かれ、左が
露天風呂の極楽湯、右が日進館だと表示が現れた。
日進館は独立した湯小屋なので外だった。
ようやく最後のドアを開けると、ホテルのサンダルがいくつも突っ込まれた下駄箱があり、外に出た。
左側は斜面、右側に川と荒涼とした硫黄色の風景が広がっていた。
数十メートル先に屋根に湯気抜きのついた黒ずんだ木造の建物が建っている。
それが日進館だった。