内湯の浴槽は石でできていて、空豆の粒のような形をしている。お湯は綺麗な青灰色の濁り湯。
でもやっぱり
レッドウッドインは丸太の露天風呂でしょうとさっさと外へ出てみた。
内湯から繋がっているドアを開けると、高いところに丸太風呂が据え付けられていた。
石段を登っていくようになっている。ざあざあと丸太風呂から溢れたお湯が石段を伝って勢い良く流れてきている。
yuko_nekoさんが先に入っていた。
私はレッドウッドの丸太というので、もっと赤茶色の生の木のようなものを想像していたが、樹齢1650年、3.2mの直径に成長したその木は、温泉の色で染められたのか色を失い灰色で、しかもあまりに固いので、まるで石かコンクリートででもできているようだった。
さらに実際にひび割れの部分はコンクリートのようなもので修繕してある。
でもそれは面白みを欠くと言うより、天然の木がここまで石のようになってしまうということにむしろ驚きを覚えた。
丸太の露天風呂はぬるかった。
レッドウッドインでは加水していないという表示があったが、外気温で冷まされているのかお湯は相当ぬるかった。
綺麗な濁り湯で、
五色や
七味と違って粉のような細かい湯の花が沢山舞っている。
ゆで卵の臭いは昨日入った温泉と同じように感じるが、入った印象はとにかく軽い。重々しいところが全くない軽やかなお湯だ。
yuko_nekoさんが箱根のお湯に似ているねと言い出した。
「そうなんだー」
「似ていると思わない?」
「私、箱根にはもう10年以上行ってないんだよ~」
それも温泉大好きになっていろいろ回るようになってからは一度も行っていない。
後で分析表を見たら奥山田温泉は造成泉だった。だから箱根と似ていたんだと納得するyuko_nekoさん。
ああ、箱根、行きたいな。毎年11月頃には箱根の紅葉を見に行こうと計画だけは立てるんだけど、一度も実行できたためしがない。もちろん今年も無理だ。
丸太風呂の背後は木の柵の向こうに森。
前方はレッドウッドインの建物を見下ろすようになっていて、その向こうにぽつぽつと木の生えた牧草地。冬にはスキー場になるのだろう。長閑な景色。
そうか、この景色を見せるために、丸太風呂は高いところに据え付けられたのか。
ぬるめのお湯にのんびり浸かって、丸太の縁に肘を当てながら牧歌的な山の景色を眺めていると、また流れてきた雲が全てを覆い隠してしまった。