私たちが内湯に着くと、ちょうど隣の男湯内湯からがっちゃんが上がるところだった。うちのパパは露天風呂の方にずっといるらしい。
女湯内湯にも先客はいらした。
そうそうこれ、ほぼ正方形の木組みの湯船で床は放射線状に組んであるの。年季の入った木は既に黒々として硫黄成分の白い粉がこびりついている。写真で見ていたとおりだ。
お湯の色は露天風呂とは全然違った。
露天風呂が灰色っぽかったのに対し、緑色がかった乳白色だ。
五色温泉の名の由来は、湯の色が五色に変わることから。
季節や天候により変化する湯の色とは、乳白色、コバルトブルー、墨色、クリーム色、濃緑色の五色。
今日は露天風呂は白で内風呂は緑といったところか。ちょっとどんな風に色が変わっていくのか見てみたいような気がする。
内湯はえらく良い湯だった。
少し熱めだが入っていられないほどではない。
ゆで卵のような臭いも薬品のような臭いも露天風呂よりずっと強い。お湯にも力があるような感じだ。
飲泉用のコップ(何故かタイムボカンの柄)があるので飲んでみると、ゆで卵のような味にプラスして苦みがとても強い。
見た目も舌触りも粉っぽさのまるでない濁り湯だが、ときどき大きな湯の花が浮かんでいる。こちらの湯の花は黒と白と黄色とあるというが、黄色いものは見つけられなかった。黒い湯の花が数は少ないものの色が濃いのでよく目立つ。
先客は1時間半ほど離れた場所にお住まいの方で、時々五色の湯旅館に立ち寄り入浴すると教えて下さった。
「ラジウムがね、入っている温泉だからここはよく効くのよ。この辺りには沢山温泉があるけど、なんと言ってもここが一番だと思うの」
私はいわゆるラジウム泉と呼ばれる所ややラジウムで知られる温泉には入ったことがないような気がする。yuko_nekoさんは栃尾又の宝巌堂がお気に入りだからラジウム泉をよく知っているようだが、私が思いつくのは山形の
小野川温泉ぐらい。でもあそこも湯の温度が高すぎて浴槽に入る前に揮発してしまっているはず。入ったことがないラジウム泉なら増富温泉とか三朝温泉とか名前だけいくらでも挙げられるんだけど。
ラジウムって色も臭いも何もないんだっけ。益々判るような判らないような。