七繰の湯に行く前の道の向かいで一休み。
するとちょうど下は小学生、上は中学生ぐらいかな、浴衣姿に髪を後ろで一つに束ねた三姉妹が七繰の湯の前に立ち止まった。上二人は宿の浴衣に渋温泉下駄姿だが、末娘だけサイズが合わないようで違う浴衣に自前のサンダルなところが微笑ましい。
子供たちだけで外湯巡りをしているんだ。熱いお湯も多いだろうに大丈夫かなと思っていると、三人は七繰の湯の前でかわるがわる記念撮影をして巡浴手ぬぐいにスタンプを押すと・・・中には入らずにそのまま立ち去ってしまった。
苦笑するが、よく見ていると大人でも同じパターンが多かった。
外湯の前でスタンプは押すが入らない。
きっとひとつふたつ入ってあまりの熱さにギブアップしたのだ。まあ順当に行けば一番湯、二番湯で白旗を上げたのだろう。気持ちはよーくわかるが、果たしてその九湯巡りにご利益があるかどうかは神、いや仏のみぞ知る。
今日は七繰の湯もそこそこ熱かった。
結局渋温泉の外湯が適温なのは誰かがぬるめた後なのだ。
無色透明の湯の中にはたまに黒い湯の花が舞っている。
鉄分が酸化して赤黒くなったようだが、この湯の花、数は多くないが結構大きくて、羽毛のようにひらひらしている。
上がるときにちょうど他の人が入ってきて、金属のにおいを幾重にもまとわりつかせていたので、もしかして
渋大湯から来たのかななんて思ってしまった。