支度をして外に出ると、ちょうど紺碧七さんが出てきたところだった。もう義満さんは出口で待っている。
義満さんが温泉卵を買おうというので、湯畑から西の河原通りを行くことにした。
温泉卵は極楽館を過ぎて温泉饅頭試食攻撃の縫って進んだ先、草津ガラス蔵のところで売っている。
この道を歩いているとき、紺碧七さんが携帯で誰かと話をしていた。
現在地を教えて、そこに来いと言っているようだ。
「誰ですか?」
「んー、しんたくんですよ。今ちょうどこっちに向かっているところだって言うから」
しんたさんは確かうちのパパとだださんと一緒に
喜美の湯に出かけたはずだ。あの二人はどうしたんだろう。部屋で寝ているのかな。
義満さんは美味しそうな温泉卵を一パック買い求め、のんびりとまた湯畑の方に向かってみんなで歩き始めたが、しんたさんの姿は見えない。
もう一度、紺碧七さんがしんたさんに電話をした。
「今どの辺にいるの?」
「えーと、湯畑があって、湯もみショーとかなんか・・・」
熱の湯だ。
「じゃそこで待っていなさい。今からそっちに行くから」と紺碧七さん。
急いで湯畑の前、湯もみと踊りショーの熱の湯と、共同浴場白旗の湯のある辺りまで行くと、所在なさげにしんたさんが立っていた。
「だださんたちは?」
「えーと見あたらなかったです」
「喜美の湯行きました?」
「はい、連れていって貰いました」
「そこ」と私は後ろを指さして、「
白旗の湯っていう草津で一番有名な共同浴場がありますけど、入ってみます?」
「ああはい、入ってみます」
それでしんたさんは、そのまま白旗の湯に行ってしまった。
えーと、何で私たちはしんたさんと待ち合わせたんだっけ?
まあいいか。