6.しばし時間を止めて・・・
山本館の浴室を見ると、思わず感嘆のため息が漏れる。
脱衣所は真新しかったが、浴室は昔のままらしい。
浴槽は桧、壁も床も全て桧。高いところに
法師温泉を思い出すような鹿鳴館調の窓がある。これはまた、なんと絵になる佇まいなのだろう。
温泉と言えばとにかくお湯に尽きるという意見もあるが、山本館の浴室を見る限り、ハコもまた大切なのだと思い知らされる。
つまり最高の料理はぜひ最高の皿に盛って欲しい、そういうことだ。
お湯は二ヶ所から静かに注がれている。
長方形の二辺のうち、長い方からは筒状の湯口が出ていて、短い方には温度を下げるためか平たい湯口がある。
昨日の
白旗の湯と同じ源泉なのだが、こちらはうっすらと青白く白濁しているだけだ。後で写真を見たら、男湯の方が強く白濁していた。ちょっとした引き湯のコンディションや投入量で濁り具合というのは簡単に変わってしまう。
臭いは薄い硫黄臭と金属臭。
気持ち熱いくらいの温度。入るのにためらうほどは熱くない。
こういう時間の流れを感じるようなお風呂は、独占できると極楽だなぁ。
ふー。