さて、湯上りは塩田跡を散歩する。
ちょうどたまて箱温泉の正面、たまて箱温泉と山川砂むし温泉「砂湯里」の間に山川製塩工場跡地がある。
工場跡地と言っても工場の建物が残っているわけではないのだが、ソテツが生える海岸からもくもくと白い蒸気が上がっており、製塩の塩田と、蒸気を引いたパイプなどを見ることができる。
ここでは昭和19年から約20年間、海水と温泉熱を利用して塩が作られてきた。
当時全国各地で行われた温泉熱利用の塩田の中でも最後まで操業を続けていたのがこの伏目海岸の山川製塩工場だった。
塩田跡を見ながら歩くと、およそ3、4分ほどで石段の下に砂むし温泉「砂湯里」のシートを掛けた屋根が見えてきた。
なるほど確かに近い。
そしてここから見る晴れた日の白波打ち寄せる伏目海岸と真正面の開聞岳は、思わず息をのむ眺めだった。
あんなに真っ青だった空だが、たまて箱温泉を離れるに従い雲が増えてきた。
海の上は晴れていても、陸の上は曇りみたい。
それでも初日同様、もともと雨の予報だったと思えばむしろツイていると言える。