受付で、さっき砂湯里で買ったセット券といぶすき湯めぐりパスポートを出す。
このパスポートで540円の入浴料が400円に割引になるのだが、セット券を買っているのでその恩恵は無い。ただスタンプを押してもらっただけ。これで5つのスタンプが全部集まった。
露天風呂は和風と洋風とあって男女入れ替え制。この日は偶数日で女湯は洋風。
景色は和風が開聞岳ビュー。洋風は竹山ビュー。
この辺の景色ならなんといっても開聞岳なので、なんか洋風で損した気分が無かったとは言えない。
ただし、お風呂に入ればそんな気持ちは吹っ飛ぶ。
全国ナンバーワンを取るだけある絶景ぶり。海一望。
開聞岳が見えなくても、竹山の切り立つ岩肌や、波しぶきの寄せる岸壁もえらい迫力。
実は浴槽の一番海側に行くとぎりっぎり開聞岳が見えるけど、どうしても頂上までは見えない。この辺が「いけず」って感じ。
靴箱や脱衣所のロッカーには、混雑時はお連れの方と共同でご使用くださいといった注意書きがあり、人気故にものすごく混むことがあると想像できる。
ただし今日はがらがらだった。
こんなに快晴なのに。
こんなに絶景なのに。
このものすごい景観の露天風呂をほぼ独り占めだった。
いいのか?
いいのか?
むしろ友達と一緒に入って、凄いよ、凄いよ、もうどうしようかと思うほど凄いよって手を取り合って言いたい。そのくらい凄いよ。
脱衣所を出るとまず洗い場だけの部屋があり、そこを出るとババーンと大きな露天風呂。
屋根が掛かっているのは出口のあたりのごく一部で、あとはスパーンと何もなく素晴らしい開放感。
扇形の広い浴槽の他に、小さめの四角い浴槽もあってそちらは熱いお湯が入っている。入浴できないほど熱くは無い。
ただし入る時はそれほどでも無いのに、入っていると足の方から熱さが登ってくる。
お湯の色は緑がかって見えるが濁りは無く透明。
磯のにおいとぺとつく肌触りがある。
すぐに温まるタイプのお湯だが、のぼせたからと縁に上がって座ったりすると、今度は海からの冷たい風に凍えることになる。
だから自分もだけど、他の人たちもみんな同じ行動を取っている。
しばらくして二人組の女性が入ってきたが、私と同様、入っては縁に上がって、風が吹くと慌てて首をすくめてまたお湯に入るの繰り返し。
男湯の方はと言うと、パパはお風呂から開聞岳を見たくても露天風呂と開聞岳の間に塩田跡の白い蒸気がもくもく上がっていて邪魔をしていたと言っていた。