◆◇鹿児島温泉巡り旅◇◆

4.河原湯(こらんゆ)の駐車場を探して

　私より先にお風呂から上がっていたパパが、急に指宿温泉の他の共同浴場にも行ってみようと言い出した。
　さっき貰った指宿湯めぐりパスポートを見て決めたらしい。
　記載された温泉でスタンプを5つ集めると、抽選で特産品プレゼントの文字に惹かれたらしい。スタンプラリーとかに弱いよね。
　あっ、私はノープロブレム、というか全身でウェルカム。
　温泉行かれるなら絶対行く。
　で、で、どこ？

　「全部で五か所のスタンプを集める必要がある。今行った殿様湯で一つ。それから元々行く予定だった山川の砂蒸し風呂とたまて箱温泉で二つ。残りはあと二つ。で、まずここに行ってみようと思う。河原湯(こらんゆ)っていうところ。殿様湯から一番近いから」

　指宿湯めぐりパスポートにそれぞれの温泉の簡単な地図も付いていたから、既に私がお風呂から上がる前にパパはカーナビに入力済みだった。
　今入った殿様湯と、これから行く予定の河原湯と、山川砂むし温泉「砂湯里」と、たまて箱温泉の他にリストに載っていたのは、吉乃湯、村乃湯温泉、東郷温泉、いぶすき元湯温泉、砂むし会館「砂楽」、弥次ヶ湯温泉、松元温泉玉利浴場、家族温泉「野の香」、ヘルシーランド大浴場(温泉保養館)、浜児ヶ水(はまちょがみず)区営温泉、区営鰻温泉、徳光温泉(岡児ヶ水温泉)の12ヵ所。
　「あっ、村乃湯があるじゃん、ここ、私、昨日入ったよ。スタンプ・・・あーっ、受付が誰もいなくて入浴料だけ置いてきたんだった。駄目じゃん、それじゃ、ノーカウントだ」
　それによく考えたら村乃湯は私だけが入ったからパパの分は無いんだった。どっちにしろスタンプ押してないから意味ないのだが。

　「鰻温泉も載ってるじゃん。最後の一ヶ所はここにしようよ、鰻温泉」
　もうひとつ気になる名前を見つけた私はそう言って顔を上げたが、パパは聞いていない。河原湯に至る狭い道にどうやって車を入れるか考えているようだ。
　「降りて誘導してくれないかな。道幅、ぎりぎりだ」
　ふええ。私、誘導苦手なんだよ。
　と嘆いてもしょうがない。見ていた湯めぐりパスポートを座席に置いて、車の外に出た。
　「オーライオーライ」
　誘導していると対向車が来ていったんストップ。ストップしたところでパパはこれ以上無理して角を曲がるのは危険と判断したようだ。誘導はもういいと言って、他に車を停められる場所は無いか探し始めた。

　「あったあった」
　え？
　「河原湯の駐車場だよ。河原湯の前まで行かなくてもこの道沿いに専用駐車場があった」
　なあんだ。苦労しなくても良かったんじゃない。
　拍子抜けしちゃった。