レンタカーで走り出して10分足らず。
「もう着くよ」と言われて慌ててガイドブックから顔を上げると、いつの間にかあたりの景色は茶畑から山あいの田舎道に。
川沿いの道路の周囲にはぽつりぽつりと民家か民家と見まがう温泉宿が建っているばかり。どこも温泉名や立ち寄り入浴時間の書かれた看板が無ければ一般家屋と間違えそうだ。
泊りたいけど泊まりたかった妙見石原荘の立ち寄り入浴は10時からだから無理。
でもこの辺りには朝早くから夜まで入浴を受け付けている宿が多いので、その中から田島本館というところを選んでいた。
田島本館は川の向かいに建っていた。
比較的大きな建物だったが、痛みかけたコンクリ製で、どことなく公共の宿みたいな雰囲気がある。
細い橋で川を渡って神経痛・リウマチに効く温泉だと言う看板を見つける。
駐車場に入る所にあった建物は随分とガタが来ていたがどうもこれは自炊棟の建物らしい。
パパはB級っぽい雰囲気が苦手なので、もしかして最初からパパの好みを外してしまったかなと不安になったが、駐車場の前にはレトロ感がありながらもやけに洒落た囲炉裏というカフェがあり、その一角に日帰り温泉の受付もあった。
受け付けてくれたお姉さんは、午前中は神経痛に効くお湯には入れないんだとすまなそうに言い、胃腸に効く湯ときず湯の方で良ければこちらへと川沿いの浴室へ案内してくれた。
もともとこの田島本館の日帰り入浴のシステムは一回風呂と呼ばれ、神経痛・リウマチに効く温泉の浴室と、胃腸と傷に効く温泉の浴室のどちらかを選択するシステム。
といっても今回のように、時間帯によって自動的に振り分けられるとも言える。
両方入りたければ時間を選んで二回分の料金を払うことになるのかな。二回分と言っても一回250円だから全然高くない。