子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★★☆ お湯は熱い浴槽もあるので注意
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★☆☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
鹿児島旅行で一番最初に入った温泉がここだったのだが、お風呂で会った地元の方が、「ここが妙見で一番有名なお湯だから」と言っていた。
本当に面白いお湯だった。鹿児島最初のインパクト。
鹿児島空港からレンタカーで走り出して10分足らず。
「もう着くよ」と言われて慌ててガイドブックから顔を上げると、いつの間にかあたりの景色は茶畑から山あいの田舎道に。
川沿いの道路の周囲にはぽつりぽつりと民家か民家と見まがう温泉宿が建っているばかり。どこも温泉名や立ち寄り入浴時間の書かれた看板が無ければ一般家屋と間違えそうだ。
田島本館は川の向かいに建っていた。
比較的大きな建物だったが、痛みかけたコンクリ製で、どことなく公共の宿みたいな雰囲気がある。
細い橋で川を渡って神経痛・リウマチに効く温泉だと言う看板を見つける。
駐車場に入る所にあった建物は随分とガタが来ていたがどうもこれは自炊棟の建物らしい(注 2015年に建て替え工事)。
夫はB級っぽい雰囲気が苦手なので、もしかして最初からパパの好みを外してしまったかなと不安になったが、駐車場の前にはレトロ感がありながらもやけに洒落た囲炉裏というカフェがあり、その一角に日帰り温泉の受付もあった。
受け付けてくれたお姉さんは、午前中は神経痛に効くお湯には入れないんだとすまなそうに言い、胃腸に効く湯ときず湯の方で良ければこちらへと川沿いの浴室へ案内してくれた。
もともとこの田島本館の日帰り入浴のシステムは一回風呂と呼ばれ、神経痛・リウマチに効く温泉の浴室と、胃腸と傷に効く温泉の浴室のどちらかを選択するシステム。
といっても今回のように、時間帯によって自動的に振り分けられるとも言える。
両方入りたければ時間を選んで二回分の料金を払うことになるのかな。二回分と言っても一回250円だから全然高くない。
川沿いの浴室は川が見えるわけではない、少なくとも女湯は。
うなぎの寝床のように細長い浴室で、浴槽は四角。手前に胃腸の湯、真ん中にきず湯、奥に胃腸の湯らしいうたせ湯が一本ある。
建物は年季の入った板張りで、奥の窓にはよしずが下がっている。
胃腸の湯は激熱。
後から男湯は先客がいて適温だったらしいと聞いたけど、女湯の方はしばらく誰も入っていなかったようで源泉そのまんまみたいな熱さ。入れても数秒しか入っていられない。
お湯はすまし汁色の僅かな白濁りで、少し泡があるが温度が高いせいかどんどん抜けている感じ。
柔らかい金属臭がする。肌触りはきしきし。
インパクトは胃腸の湯よりきず湯の方が強かった。
浮いている湯の花がものすごい。こんなの見たこと無い。
遠目にはまるで蜜柑に見える色と大きさ。でも湯の花の塊。 触ると赤土みたいに溶ける。
掛け湯するとものすごい鉄の臭い。そしてかき混ぜると底からもクラゲみたいにオレンジの湯の花が沢山浮いてくる。
温度はごく適温。
胃腸の湯は飲めると聞いたが、浴槽に入るお湯は湯面に直接注がれているので、どっから飲むのかと思ったら打たせ湯から飲めた。
じゅわっとするお湯で少し塩味の効いた出汁風味。そこそこ美味しい。
胃腸の湯が熱すぎたので加水していると、しょっちゅう通っているという地元の方が入ってきた。
薄まるのが心配になって水を止めましょうかと聞くと、熱いのは入れないからもっと限界まで水を出していいと言われた。
それで今までおそるおそる捻っていた蛇口を回りきるまで回してみる。
さらにその地元の方は、きず湯の湯の花も桶でじゃんじゃん外に放り出した。
でも湯の花が多すぎて捨てても捨ててもまだまだ浮いてくるのが何だか可笑しい。
さらに三人目のお客さんが来て、その人がどうやって髪を洗えばいいのかと悩んでいたら、その先に来た地元の方が打たせ湯を使うのよとアドバイスしていた。なるほど。
田島本館の浴室から駐車場に戻る途中、カフェ囲炉裏の前で夫が見つけたのは塩ゆでたまご、一個80円。
単なるゆでたまごじゃなくて塩ゆでたまご。殻の外側にたっぷりと塩がくっついている。
面白がって彼はこれを一個買った。
まさかこの時は今日、昼食難民に陥るとは思っていなかった私は自分の分を買わず後で後悔する羽目になった。