◆◇レンタルキャンピングカーで北海道◇◆
北海道キャンプ旅行記
森へ向けて高台から船のへさきのように突き出したお風呂だと思った。
たぶん外の景色には山も見えるのではないかと思うが、いかんせん半分靄の中だ。
しかしお湯がまた非現実的に思えるほど明るい茶色、まるでレンガか濃すぎるオレンジジュースのような色合いなので度肝を抜かれる。
振り返ると後ろにもう一つ浴槽があった。
頭をぶつけそうになるが、狭い半洞窟のような作りになっている。入っているお湯はこちらも絶景露天風呂と同じ茶色の源泉だ。
左手の岩の向こうに男湯の露天風呂があって、ちょうどパパが一人でいるようだったので声を掛けたら、男湯の方は後方のお風呂は無色透明な方のお湯が入っていたそうだ。
茶色のお湯は濁りが強く、色が付く元の細かい粉がはっきりわかるほど。
鉄の臭いが凄く、肌が引っかかるようなきしつきがある。
温度はかなりぬるめでゆっくり入れると言えばそうなのだが、上がるときに寒さを感じるほどだ。
中のお風呂にも入ってみた。
こちらは浴槽が三つあり、一番大きいものには露天風呂と同じ茶色い源泉がパイプから注入されており、そこに隣の透明源泉のあふれた分が流れ込むようになっている。パイプの近くはかなり熱いが、透明なお湯がぬるいせいか全体的にはぬるめになっている。こちらのお湯の色は露天風呂ほど濃くはなく、わずかに緑がかって味噌汁のように見えた。
透明なお湯の方も入ってみると個性がある。少し酸味のあるお湯でわずかに甘い臭い。半透明の大きな湯の花がゆらゆらしていた。
この他に脱衣所寄りのところにもう一つ透明なお湯の入った浴槽があり、これだけが熱いお湯だった。
ひととおり入り終えて、やっぱり景色が見たいと少し寒いがもう一度露天風呂に出た。
するとちょうど風が靄を吹き飛ばしてくれたのか、さっきまで見えなかった遠方の山々がうっすらと見えた。
その景色はみるみるうちにくっきりとしてきて、そしてそれはまた一瞬のことで、気が付くと再び露天風呂の周囲は真っ白な靄に包まれていた。