1.哀しい知らせ
最終日 2003年11月3日(月)
今朝は雲が多かった。
沈んだ色合いの榛名湖も綺麗だ。山の上は既に葉が落ちて、岸の紅葉もあと数日だろう。
朝ごはんは昨日の鍋にご飯を入れて茸ぞうすい。
子供たちは朝も最後のショーをしてくれた。
テレビでは「はなまるマーケット」。CMの前に映った山がどうも榛名山に似ているなと思ったら、それは本当に榛名山で群馬の特集だった。なになに、ロマンチック街道を行く? どっかで見た露天風呂だぞ。やっぱり…
川中温泉じゃん。その後は紅葉の吾妻渓谷。そう来たら、次は草津でしょ。なんだ、昨日の我が家のルートと同じじゃない。
車を出そうとしたら、管理人さんが見送りに来てくれた。
「また寄らせてもらいます」とパパが挨拶したら、
「まだお聞きになっていませんでしたか。実はここ、本年度いっぱいなんですよね」
あまりに衝撃的な発言に、一瞬何を言われたかわからなかった。
「ここも伊香保の方も、来年3月で閉めちゃうんです」
2ヶ月から半年おきのペースで群馬に通っていたのは、全てこの榛名湖の定宿があったからだ。
初めてここに来たのは3年前のGWだったか。それ以来、気に入って、春に秋に冬に訪れ、季節の移り変わりを見てきた。窓から見る榛名湖の景色、子連れでも気兼ねない部屋のつくり、群馬は奥が深くて何度来ても飽きることがなかった。いつもまたすぐ来られるから、次に来たときはこれをしよう、来年の同じ季節にはここに行こう、と、いつもいつもここがずっとあると信じて、次の計画を立ててきた。
全部この宿があったからだ。
管理人ご夫妻の人柄にも引かれて、他に泊まることは考えなかった。
自分の別荘のようなつもりでいた。
子供たちはこの宿が大好きで、旅行に行くと言うと、真っ先に「湖の見えるおうち?」と言うくらい。
ここが無くなったら…ぽっかりと穴が開いたみたいに、考えられない。
榛名山を下るとき、ぽつぽつ雨が降っていた。
カナは、湖の見えるおうちがなくなっちゃうのが哀しくて、泣いているから雨なんだと言った。
「年末取れたら、5日ぐらい泊まろう」とパパが言った。
「冬季は土日しかやっていないから、2月にはワカサギ釣りに来て、草津はそのとき前か後ろにくっつけて泊まろう」と私。
たぶんあと2回しか泊まれない。今回で7回目の連載となった榛名湖日記。ナンバー9が完結編だ。
カナもレナも榛名湖の宿が大好き。大きくなってもここのことを覚えていてくれるだろうか。