4月27日(土)
ゴールデンウィーク前半。3泊でいつもの榛名湖へ。
昨日の朝のこと。
パパ「明日何時に出る? 朝8時頃が一番道路が混むらしい。それより早く出るか遅く出るか…」
私「遅くったってゴールデンウィークなんだから、空かないんじゃない? 早く出るしかないんじゃないの?」
パパ「午前6時頃出てもいいんだけど、そうすると早く着きすぎる。どうせ町中で食料の買い出しを済ませないといけないから(宿泊施設は自炊)、店が開く10時頃までどうする?」
私「そうだ!! 高崎に24時間やっている今話題の凄くいい温泉があるんだよ。最初にそこに行くのはどうかな。露天風呂もあるし、もちろん休憩室もあるよ」
眠い目をこすりつつ高速に乗って、東京を脱出。
子供達もうとうとしている状態のまま車に運ばれ、やがて目を覚ますと前日買っておいたパンや紙パックのジュースを飲んで、いつの間にか次の旅が始まっていることに気づくのだった。
午前7時50分。前橋インターを降りて、カーナビの指示通り道を曲がっていくと、濃いピンク色のひらがなで「ゆ」と書かれた看板が見つかった。
目指す
高崎の温泉、天神の湯だ。
神社の隣の瀟洒な建物は、看板を見なければ温泉と判らないかもしれない。
しかし何より驚いたのは、朝のこの時間に関わらず、相当な数の車が、既に駐車場に並んでいたことだった。
群馬には由緒ある昔ながらの温泉から、掘削して最近営業を始めたぴかぴかの温泉まで数多くの施設がある。温泉好きの旅人には嬉しいが、経営する側からすると、何か特色を出さないと、生き残れないのかもしれない。
ここは基本の大浴場、露天風呂、休憩室、食堂、さらにサウナ、マッサージバス、マッサージルーム、アカスリ等の他でも見られるような設備の他に、自慢の湯のかけ流しと、24時間の営業という、良心的な本格温泉と使い勝手の良いスーパー銭湯の両方をあわせたサービスを特色としている。
高速のインターを降りてすぐという立地条件から、渋滞を避けるため、深夜や早朝に着いた行き場のない客が、心からあって良かったと思うようなサービスだ。
フロントでキーを受け取り、4歳のカナはパパと、2歳のレナは私と入ることにして暖簾をくぐった。
既に洗い場はかなりの人が使っている。一番奥に陣取り、寝ぼけ眼の子供を洗った。
内風呂は四角く、ざあざあとお湯が投入されている。レナの手を引いて外へ出てみた。露天風呂は想像していたより広かった。町中なので四方を囲まれているのは仕方ないが、立地条件から考えるとちょっと驚くほどスペースが広い。圧迫感を感じなくて良い。
お湯は薄い黄褐色で少し熱め。レナが躊躇しているのを見て、周りの方が「小さい子には少し熱いかもね」と声をかけて下さる。非常に良く温まるお湯で、長く入っていられず、少し外に出て涼むと、季節の割に気温の低い今日などはちょうど良い。温泉の成分で浴槽の底や周りの岩はかなり茶色くなっている。深さは深いところでもちびすけレナの足がちゃんとつく。
露天には、一番大きな浴槽の他、水風呂と、もう一つ小さい浴槽があった。近づくと、「この露天風呂には源泉そのままのお湯を使っています。熱いかもしれません」といった注意書きがある。
二人の人が入浴していたので、そこまで熱くなかろうと手を入れてみたら、大きな露天風呂と同じくらいの熱さだった。
先に入っていたお二人が言うには、ここはいつもはもっとずっと熱い。今日は何故だかぬるいので入れるとのこと。
レナはまたいつものように「いくつ?」「抱っこさせて」と見知らぬ方に可愛がってもらった。
お風呂の後はお約束のソフトクリーム。休憩室はリクライニングシート付き(有料)、無しの広間が二階にあるらしいが、一階奥の軽食コーナーでも座布団を枕代わりにごろごろしている人たちがいる。この時間でも軽い食事を出してくれるらしい。そういう意味でも使える設備だ。
飲食物はいっさい持ち込み禁止だが、水やお茶は無料サービス。定時になるとロビーの仕掛け時計が動いて音楽を奏でるので、カナとレナは大喜び。
天神の湯はパパもたいそうお気に召したらしく、次からもこういう使い方をしようとほくほく。
「お湯も良かった。ちょっと
板橋温泉に似てるよね」とパパ。
そうかも。
板橋温泉ほどはしょっぱくないし、ぬるつきも無いけど、確かに似ている感じ。
さっぱりしたところで車に戻って、次の場所へ。
大型スーパーマーケットの前に、前々回も寄ったしんとうふれあい公園へ。ここの物産館で野菜等の買い出し。
子供達は早速バッテリーカーへ。
10時から乗り物などは動かすらしく、のんびりと係りの人がシャッターを開けて子供用の消防車やパンダカーを出していた。お金を入れてもさっぱり動かないので係りの人を呼びに行ったら、やってきてコイン投入口をがんがんと叩いて、エンジンをかけてくれた(笑)。ちなみに二台目もやはりコインを入れてもうんともすんとも言わなかったので、今度はパパが投入口を叩いて動かした。
一応、ゴールデンウィークなので、缶ジュースを沢山氷水の中に沈めて、「二本で100円」と書かれた手書きのちらしをテープで貼っているのがのどかだ。ここは特別大きな公園というわけでもないが、バッテリーカーの他、ミニSLやローラー滑り台などあって、子供の心をつかんでいる。
帰りがけにまたまたしんとうワイナリーによってワインを一本仕入れた。
そろそろ渋川に出て残りの食料を買わなくては。大型スーパーに入ることにした。
買い出しを全て済ませたら、お腹が空いてきたので、次は途中の蕎麦屋に入った。
勘十郎。とても美味しかったです。ごちそうさま。
ちなみに手前のざるそばにはもっと山盛り海苔がかかっていたのだが、肉汁そばを頼んだパパに半分取られてしまった…。
その後、もう一風呂浴びようかと榛名湖へ向かう前に伊香保で車を停めた。
初めて榛名湖に来たときに、伊香保大露天風呂に入った。お湯もロケーションも大満足。カナは猛烈に気に入り、なかなか出ようとしなかった。
しかし、まっすぐ車で大露天風呂の駐車場まで行ってしまったので、有名な伊香保の石段を見たことがない。テレビで黄昏時の石段街なんか写ると、なんかこう、絵になっていい感じじゃないですか。一度見てみたかったが、何しろ子供達は自分たちで石段を上り下りしてくれるとは限らないし、まさか抱っこして何段も上り下りする勇気は…。
と思っていたが、案外
石段の湯は近かった。
上野国三ノ宮である伊香保神社をトップに石段街は最下段の伊香保御関所跡まで伸びている。その関所跡のすぐ上が町営
石段の湯だ。
駐車場は裏手にあり、榛名湖へ向かうルートからちょっと入ったところだ。日本に残る旧ハワイ王国の唯一の建物という、旧ハワイ公使別邸の斜め前辺り。
ヨモギ、大葉、コンフリーなどの食べられそうな雑草が傍らに沢山生えている急坂を少し昇ると、たった四段の階段があり、石段の湯の裏手に着く。
入り口の暖簾が藍色なので、カナが女の人のお風呂はどこ?と聞いた。
そばにいた方が、ちゃんと中に女湯もあるのよと笑った。
ところで石段の湯を正面からまっすぐ外に出ると、石段街の側に出る。
たぶんもっと昇ればもっと雰囲気のある通りになるのだろうが、今日はここまで。
石段街は見上げると街灯も大正浪漫風。
今度はパパは一人で、カナとレナと私が3人で入ることにした。
脱衣所など既に大勢入浴しているらしく、使用中の脱衣籠があちこちにあり、狭い。
がらりと開けて入ると、石と金属でできた不思議と洋風な浴槽があった。ライオンの口から湯が出ている。
かなり熱めの湯で、湯船に体を沈めている人はほとんどおらず、みんな浴槽の縁にずらりと座って足浴させながら雑談に興じている。若い方は一人だけで、あとは年輩の方ばかり。ゴールデンウィーク中の有名温泉共同浴場というのに、不思議と不慣れな旅行者然としている人がいない。
小さい子供が入ってきたのが面白いらしく、全員がカナとレナの一挙一動足を見ている。レナが一人で浴槽の縁に寄ってきたときは、全員が湯船に落ちるのではないかと息をのんだ。
浴室内は絶えずおしゃべりの声が反響していて、幸い子供が少しぐらい大きな声を出してもまったく判らないくらいだ。みんな長湯で、私たちが出る頃まで誰も出ようとしなかった。
続く…