パルマーストン・ハイウェイがブルース・ハイウェイに突き当たるT字路には、左へ行けば
ケアンズ、右へ行けばイニスフェイルという標識がある。
ここはちょうど標識の後ろに等間隔に椰子の木が植えられていて、その後ろにぎっしりとバナナの木が植えられている。
背景が青空だとこれらがマッチしていかにも南国のハイウェイといった景色になる。
ところが、椰子の木の何本かは頭の部分がない。幹だけだ。
「もしかして例の去年のサイクロンで吹っ飛ばされた?」
「もうっ、何でもサイクロンのせいにするんだから」
果たして嘘か本当か?
ブルース・ハイウェイに入って直ぐにガソリンスタンドを見つけた。
ミラミラのそれと違い、ちゃんとしたガソリンスタンドだ。もちろん日曜日でも営業している。
ああ良かった。これで一安心。
ガソリンメーターの針は既に目盛りの部分を通り越して、エンプティのEの字の真上に来ていた。
バナナ畑を横目で見ながらイニスフェイルの町に入る。
ここではガソリン給油の他にもう一つ用事がある。食糧の買い出しだ。
ミッションビーチまで行ってしまうとスーパーマーケットと言う名の食料品店は一応、ミッションビーチとウォンガリングビーチそれぞれのメインストリートにある。でも規模はとても小さいしお値段も観光地価格。必要最低限のものだけ手に入れるべきと思った方が良い。
イニスフェイルならこの辺りではケアンズに次ぐ大きな町なので、スーパーマーケットも銀行もディスカウントショップも何でも見つかる。
ところが、だ。
イニスフェイルの町中も閑散としていた。
ああ、しまった。
だから今日は日曜日だったんだ。
確か前回も同じパターンだった。
アサートン高原からミッションビーチに移動する日が日曜日で大手スーパーのコールズが開いていなかった。
オーストラリアのスーパーマーケットは平日は朝から晩まで開いていても、土曜日は夕方には店じまいし、日曜日は閉まっているところが多い。
なんの。こんな時の助っ人はいつものIGAだ。
小さな町にも店舗の多いIGAは7デイズ、いつでもオープンがモットー。
イニスフェイルにもあったはずだ。前回も結局IGAで買い物した記憶がある。
またまた、ところが、と言ってしまう。
何故か今日はIGAもクローズしていた。
どうしてだろう。
頼りにしていたのに。
途方に暮れている暇は無い。時間があまり残されていないのだ。
仕方がない。多少割高でもウォンガリングビーチのスーパーに行こう。
そうと決まればイニスフェイルに用は無い。
どんどん先を急ごう。