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** ケアンズと森とビーチの休日 **

16.トラベラーズチェックを豪ドル現金に




 パパはアサートンのメインストリートで車を停めた。
 「じゃ、トラベラーズチェックの換金に行ってきて」
 「わ、判った」
 私が焦っているのにはわけがある。
 いつも海外旅行の時はお金関係とレンタカー関係は完全にパパ任せで、まったく自慢じゃないけど私はノータッチだった。
 だから今まではトラベラーズチェックの換金も全てパパが一人で銀行に入ってやってきた。
 しかし今回は違った。私はたまたまシティバンクに口座を持っていて、シティバンクでは口座を持っている人に限り手数料無料でトラベラーズチェックを発行してくれるというので、それを利用することにして、するとトラベラーズチェックを購入するときに記載する用紙に、使うのは自分ですか? それとも違う人ですか? というチェック欄があって、私は深く考えず自分のところにチェックして購入してしまった。
 別にサインさえあえば誰が使っても問題はないのかもしれないが、そんなことがあったので今回のトラベラーズチェックは初めて私が換金に行くことになった。
 たかがTCの換金なんだけど、何しろ言葉は不自由だし、初めてというのはとにかくドキドキバクバクしてしまうもの。
 はあーっ、溜息。 




 パパが一昨年6ドルの手数料を取られた銀行というのは、道向かいの後方にあったというので、前方に歩いてみた。
 すると目の前にコモンウェルス銀行が現れた。
 探していたウェストパックじゃないけど、確かこのコモンウェルス銀行も大手じゃなかったっけ。当たって砕けろ。入ってみた。

 前にUSAか欧州か忘れたけど海外の銀行に入って、日本の銀行と雰囲気が違うのに驚いた。
 銀行員はガラスの向こうにいて、開いている透き間は手元のお金のやりとり用だけ。防犯のためだと思うが、いくらぽつぽつと穴が開いていてもガラス越しでは相手の声もよく聞こえなくて、不自由な会話がますます不自由だった。
 だからここでもそんなのをイメージしていたが、意外にも中は日本の銀行と似たような雰囲気だった。カウンターがあるだけで、銀行員との間に高い仕切りなどは無い。
 ドアの外の町の雰囲気と違い、やけに清潔で整然としてるので益々どぎまぎしてきた。

 トラベラーズチェックの使い方は、まず購入したときに上段のサイン欄にパスポートと同じサインをしておく(既に済んでいる)、次に使うとき(または両替するとき)に下段のサイン欄に上と同じサインをする、と、これだけでいいと思っていた。
 何、簡単簡単。誰でもできる。難しいことは何もないさ。

コモンウェルス銀行アサートン支店



 カウンターにいた銀行員のお姉さんに、「I'd like to cash this traveler's check, please.」と旅行用英会話の本そのままにぎこちなく話しかけてみる。
 すると、必要なサインをしてパスポートと一緒に出してと言われて、はいはい、予想通りと一連の作業を終えた。
 しかしお姉さんは受け取ったトラベラーズチェックをしげしげと眺めて、泊まるところが書いていないわと言い出した。
 へ?
 そんなものが必要だなんて話は聞いてない。
 確かに泊まるところを書く欄もあったような気がする。
 機内で書いた入国カードに宿泊先を書く欄があるように、まともな旅行者であることを証明するために宿泊先のデータがほしいというのは理解できる。でもそんなの書かないと現実に両替できないなんて知らなかったよ。
 知らなかったから宿泊先の住所なんて持ってこなかった。パパの待つレンタカーの中だ。
 「どこに泊まるの?」と怖そうな銀行員のお姉さん。
 えーと、えーと・・・。
 入国カードにはどう書いたっけ。確かミッションビーチのウォンガリンガを書いたよ。
 「ミ、ミッションビーチ・・・」
 「ミッションビーチのどこ? 番地は? 電話番号は?」
 そんなの暗記してないよ~。
 「・・・そのトラベラーズチェックとパスポートを返して下さい」
 困った末に私は言った。車に戻って出直そう。ウォンガリンガの住所を調べてくればいい。
 ところがお姉さんは私のことを益々怪しい奴と思ったのか、睨むような顔のままトラベラーズチェックとパスポートを奥へ持っていこうとした。
 ま、待ってくれ。
 私は心配になった。面倒なことは嫌だよ。サインだけであっさり取り替えてくれると思ったのに。
 こんなことならケアンズ市内の日本語が判るような両替所で忘れずに換えて来るんだったよ。もう遅いけど。
 「待って!!」
 えーと、そうだ。
 「ローズガムズ!!」
 「ん?」
 「ローズガムズ・リトリートに泊まる、トゥナイト」
 お姉さんは広くてアコモがいっぱいあるミッションビーチじゃ住所がないと納得しなかったようだが、同じテーブルランドで、しかも一軒宿のローズガムズなら名前だけでも聞き覚えがあったのか、目の前の端末をぱたぱたといじって所在を確認し、自分でローズガムズの名前をメモした。
 「OK」
 ほーっ。力が抜けた。
 後は黙って作業してくれる。思ったより時間が掛かったが。
 最後に現金を出して、手数料が8ドルだから1,000ドルから8ドル引いたわと992ドルを広げて見せてくれた。
 何だよ~、結局手数料取るんじゃない。しかも前回の6ドルよりなお高いし。
 こんなことならこの銀行の入り口にあったATMを黙って操作してカードで現地キャッシングを試みた方が良かったか。
 仕方ない。これも勉強料。
 とにかく苦労して手に入れた札を持って車に戻った。
 「泊まるアコモの住所が必要だなんて一言も言ってなかったじゃーん」
 「まあそういうこともあるのさ。臨機応変にできて良かったじゃない。結果良ければ全て良し」とパパ。
 おまけにちょっと走るとウェストパック銀行が見えた。
 益々悔しい。ちゃんとアサートンにはウェストパックもあったんじゃない。

■左 アサートンのメインストリート  ■右 ウェストパック銀行もあるじゃん、悔し~い





2-17アサートンのIGAへ続く


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