4.Rose Gums Wilderness Retreat
「・・・高いな」とパパ。
ツリーハウスの高さじゃなくて宿泊料金のこと。
2ベッドルームの1泊分ルームチャージが305ドル。
でも
ケアンズ市内のそこそこいいホテルに泊まるよりは安いんじゃないか?
いやまあ、ケアンズ市内のホテルに泊まろうとは思わないけど。
「とにかく空きがあるか聞いてみれば?」
「・・・判った」
メールフォームで問い合わせを送ると、数日後に返事が来た。
日本からのお客さんを歓迎するといった言葉が書いてある。2泊するなら90ドル割り引いて1泊あたり260ドルにするとも書いてある。
「ねぇ予約していい?」
「いいんじゃない」
パパのあまり気乗りがしなそうな返事が気になったが、とにかく予約したいという返信を返した。
気に入ったのは私だけだったのかなとその後もずっと心配だったが、いざ出発する頃には何だかパパの方が期待が膨らんでいたようだ。
「できるだけ早くローズガムズに着いてゆっくりしたいよな。ここ、凄く雰囲気が良さそうじゃない。楽しみだなぁ」
そ、そうか・・・そりゃ良かった。
みんなで気に入るのが一番だからね。
「で、場所はどこなの?」と聞かれて地図を開いた。
アサートン高原の南の方。ユンガブラとマランダの中間地点から東へ入ったところのようだ。
テーブルランドにはクレーターレイクス国立公園というのがあって、クレーターレイクス、すなわち火山湖が二つある。
大きい方が
バリン湖で、湖周辺に生息する生物を探しながらクルーズできる遊覧船とちょっとした軽食やデボンシャーティーを楽しめるレイクバリンティーハウスがある。
小さい方は
イーチャム湖。プラットフォームやボートランプがあって気軽に泳いだり釣りをしたりできるようになっている。
どちらも一昨年の旅行でミラミラに泊まったときに訪問した。
バリン湖は残念ながら曇りから雨の天気。大して離れていないのにイーチャム湖は青空だった。
その小さいイーチャム湖をラウンドする道路を途中から東南に逸れるラッセルロードに入り、さらにラッセルロードからランドロードという道に入るようになっている。
ラッセルロードまではそこそこ詳しい地図なら載っている。しかしランドロードはどこにも記載されていない。唯一頼りのDiscoverには載っているが、これは無料冊子Discoverにローズガムズが広告を載せているから特別に記載されていると見るべきだ。
いったいどういう処なんだろう。
地図に無いと言うことは、まず道が未舗装である可能性大だ。
車で行かれないような凄いところだったらどうしよう。
たぶんこのあたりだろう・・・と手持ちの地図を辿ると、どうもランドロードとおぼしき場所はウールーヌーラン国立公園との境目に近いクレーターレイクス国立公園に一般の土地がくさび形にくい込むようになっている場所らしい。
つまり国立公園を指定する際にそれ以前から開墾されていた土地やそこに至る道路だけが国立公園外として除外されるわけだから、そこはもし指定前から道路が無かったとしたら国立公園になっていた場所だっていうことだ。そしてその道の突き当たりに建っているということは、ローズガムズから見える景色はほぼ360度近く熱帯雨林の国立公園かもしれない。
これは期待できそう。
「で、食事はどうなっているの?」
「キッチンが付いているから自炊だよ。えーと、初日の分の朝食hamperが付いてきて、土曜日の夜は希望すればタイ料理が食べられるみたい」と私。
「朝食ハンパーって何?」
「さあ・・・? 直訳すると朝食バスケットってことらしいけど」
怪訝に思ったパパは翌日職場で英語に堪能な部下に聞いてみた。
「このfull
country breakfast
hamperって何だと思う?」
部下曰く、「朝ご飯を詰めたバスケットみたいなものじゃないですか?」
「ふーむ」
私たちはそのまま腕に下げてピクニックに行かれるようなものを、朝になると宿の人が「モーニーン」とか言いながら持ってきてくれるのを想像した。
それが結構な勘違いだったことは実際にローズガムズに足を運んでから判った。
ついでにローズガムズがもし満室だったり条件が合わなくて泊まれなかった場合に備えて、私たちが他にも検討してみた眺めの良いツリーハウス系アコモをいくつか挙げてみる。
マランダの
Fur 'n'
Feathers。
アサートンの
Blue Gum。
トルガの
Allawah Retreat。
イーチャム湖近くの
Crater Lakes Rainforest
Cottagesなどなど。
ブルーガムなどケアンズ近郊では珍しく温水プールなんかもあって違う意味で面白いかもしれない。