16.お魚、見られなかった
3時を回ってゆっくりと帰路に就く。
リゾートの敷地内を通っていると、あちらこちらにフラワーアレンジメントさながらに生花をアレンジした飾りが置いてある。あちらの噴水に、こちらの石の上にといった具合。
プルメリアの花もよく使われている。
そういえばあれきりプルメリアを見つけられなかった。
ゴルフ場は通らなかったので。
レナがまたぐずぐず言い始める。
立ち止まっているうちに、パパやカナとはぐれてしまった。
しまったなぁ。
どっちへ行ったんだろう・・・。
この辺りはさっきは通らなかった道だ。子供の遊び場や三段になった大きなプールがある。
あっ、あそこにリゾートのスタッフがいる。
「桟橋に行きたいのですが・・・」
「ああ、そこを入って真っ直ぐよ」
言われた道へ入ると、そこはガーデンパーティの準備中で、リゾートのスタッフが大勢バーベキューの準備をしていた。
なんとなくその真ん中を通過するのは恥ずかしいな・・・と思ったらパパとカナがいた。
「どこ行ってたんだ? そこの人に道を聞いたら桟橋はこっちだって」
なんだ、あなたも道を聞いたの。
リゾートの敷地にはブラッシュターキーの他、オレンジフッテッドスクラブフォウルもうろうろしていた。
カナの大好きなこの鳥は、
ポートダグラスには沢山いたのに、今回の旅行ではダンク島で見たのが唯一だった。
言われた道を進むとすぐに午前中過ごしたビーチの側に出た。
小雨が降ったりやんだり。
レナが「お魚、見られなかった」と呟いた。
そうだね。あんなにお風呂でシュノーケルの練習したのにね。
去年までは
ケアンズ滞在中にグレートバリアリーフにクルーズして
ロウアイルズだの
ミコマスケイだのでいくらでもシュノーケルできる環境にあったのに水に顔をつけようとせず、完璧に準備した今年にかぎって逆にシュノーケルできる場所に行かれなかったとはね。