9.眼下のコーラルシー
席は今回も右側の窓側が取れた。
ママとレナ、パパとカナで座る。
座席を捜して歩いていると、先に席について新聞を広げていた日本人が、「留守中、東京は40度もあったらしいよ」と耳を疑うような気温の話をしているのが聞こえた。
朝夕涼しかった真冬の
ケアンズを離れ、まもなく私たちも真夏の雑踏に戻らなくてはならない。
幸い、今日のケアンズは本当に天気予報通り雨が降るのだろうかと首を傾げるようないいお天気だ。
グレートバリアリーフと最後のお別れができる。
滑るように飛行機は滑走路を走り始め、レナが「ねえ、もう飛んでいるの?」と言ったとたん、ぐんとGがかかって舞い上がった。
さようなら、ケアンズ。
最初飛行機は左に傾いて、それから旋回して右に傾いた。
眼下にコーラルシー。
木の生い茂る緑の半島とコバルトブルーの海。
すぐに
グリーン島が見えてきた。
海の中にできた三角州のような珊瑚の浅瀬に、白い輪郭を見せて緑の島。桟橋も見える。
次に見えた白いコーラルケイはもしかしたら
ミコマスケイだろうか。
次から次へと釣り針のような形の珊瑚礁が続く。
やがて雲が出てきて海を隠した。