ポートダグラス楽園日誌2004 4-10


10.マリーバ・ウェットランドへ

 じりじりと照りつける日差しの下、駐車場から車を出すと、出入り口の係員が手にスタンプを押そうかと問いかけた。
 再入場するときの証明のスタンプだ。
 いらないよと伝えて車を走らせた。

 今日のプランで外せないと思っていたのはこのロデオ大会グラナイトゴージだ。
 グラナイト渓谷には野生のロックワラビーたちがいて餌付けすることができるのだが、夜行性なので日中よりは夕方の方がいいだろう。まだ時間がある。この後はマリーバ・ウェットランドに行ってみよう。

 マリーバ・ウェットランドは2,400ヘクタールに及ぶ広大な環境保護地区で、湖沼地帯を中心に、散策路などがある。
 有料のビジターセンターがあり、カヌーやボートで湿原を回ることができる。

 行くまでここについてからどうしようかと悩んでいた。
 ウェットランドに興味はあるが、カヌーは経験がないし、ボートでガイドによる説明を聞いても英語ではほとんど理解できないだろう。
 でも野鳥の楽園と言われるくらいなら、周辺をバードウォッチングするだけでもいいのではないか。それとも子供たちは嫌だと言うだろうか。

 悩むまでも無かった。
 ロデオ大会で興奮した子供たちは、Biboohraまで戻る間に相次いで寝入ってしまったのだ。

 寝ちゃったなら、何もできないまでも後ろで騒ぐこともないからとりあえず行ってみるか。

 さっきも通ったBiboohraで西へ曲がる。ウェットランドまで7キロという表示有り。
 7キロとは意外に離れているんだと思うとともに、車なら数分だろうとたかをくくれば、すぐに舗装路は乾いたダートコースになった。
 道の両側にはサトウキビ。
 それからユーカリ林に変わる。
 土煙を上げてアウトバックをどこまでも走っていく感じ。
 途中にゲートがあり、開かれている。
 その先は益々ドライなサバンナ地区。
 大小さまざまな蟻塚がそれこそ数え切れないほどある。


マリーバ・ウェットランドに至る道は、ダートコースだった

ゲートがオープンしているのは午前10時から午後4時までの間だけ

マウント・モーロイからミッチェル湖までの間でも厭きるほど蟻塚を見たが、ここもまた、うんざりするほど蟻塚が多い
なぜだかマリーバは特に空の広さを感じる場所だ

ウェットランドのメインゲートは車は出入りできても動物が出入りできないように溝にポールが渡してある

ゴリラがうずくまっているような蟻塚


 真っ直ぐだった道が、急なカーブを描いて左に曲がれば、正面に沼地。
 そしてすぐに駐車場だった。

 車が一台停まっている。
 他には何もない。
 いや、ユーカリ林の向こうに大きなラグーンが広がっているようだ。
 でもこれからどうしよう。
 後部座席では子供たちが寝たままだから置いて行くわけにはいかない。

 逡巡していると、ちょっと国連のアナン事務総長に似たビジターセンターの職員が通りかかった。
「ビジターセンターはすぐそこだよ。地図もあるよ」と教えてくれたが、パパが車の中で子供たちが寝ているんだと説明したら、それは残念と足早に行ってしまった。



4-11.水鳥の楽園へ続く


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