子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ 温度はむしろ冷たい(加熱浴槽もあり)
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★☆☆☆ 脱衣所にベビーベッド代わりのベンチあり
子連れ家族のための温泉ポイント
基本的に冷たい温泉の苦手な私は泊まりが下部温泉だって聞いた時に入れるかなと思ったわけだ。季節的には夏だけど、でも水みたいに冷たい下部でしょ?
以前は本栖湖によくキャンプに来ていて、時々下部温泉まで日帰りで入りに来た。かがみゆとか、古湯坊 元泉館とか。でももうかがみゆも夏前に廃業してしまったみたいだ。10年近く前に来た時は、それなりに栄えて見えた下部温泉街は既に寂れて見る影もない雰囲気だった。
湯元ホテルは決して新しくない。しかし建物が古いのは致し方ないとして、あの旅館に至る橋の上に掛かったカラフルな屋根はなんなんだ。
館内や客室は古びてはいるものの清潔にしてある。案内してくれる仲居さんが築90年だとか、温泉が冷たいから驚かないようにとか教えてくれる。
お風呂は浴室が二つ。便宜上男湯と女湯としておくが、翌朝には入れ替えになるので両方入れる。女湯は一つの浴室に二つの浴槽、男湯は浴室が二つくっついていて、それぞれに浴槽があり、小さな出入口から行き来できるようになっている。以前は貸切り風呂もあったが、今はそちらは使われていない。
男湯と女湯と両方に二つずつ浴槽があって、片方は非加熱源泉、もう片方は加熱源泉が入っているが、実は全部別源泉。この宿は下部温泉の中でも湯量豊富で5本ほど源泉を持っている。飲泉もできるので、客室には飲むためのグラスが用意されているし、橋のたもとのホースから出る源泉は宿泊者は自由に汲むこともできる。
まず女湯だが、入って右が非加熱、左が加熱。色は無色透明。冷たい方は身を沈めるまでは勇気がいる温度だが、夏なら私でも何とか入れるぐらい。特筆すべきは泡付き。しばらく入っているとびっしりと付いている。浴室が薄暗くてよく見えないが、手で触ると泡がつぶれる感触がわかる。
うっすらゆで卵臭がして、肌触りはきしつきあり。
しばらく入っていると寒くて震えてきた。隣に人がいると少し温かいが、誰か体を動かすととたんに冷たい水が来る。良く見ると背後の岩はまるで柱状節理のような大岩。岩肌からも浸み出しているのか全体的に湿っている。そして源泉自体がその大岩の下から湧いているのだった。このお風呂自体、大岩を削ってスペースを作ったかのようだ。
岩と浴槽の間に仕切りがあってそこに太く短いパイプが通っているが、これは本当にただのパイプ。出口に簡易なネットフィルターが取り付けてあるだけ。
つまり、岩の下で湧いている源泉は、何も手を加えないまま浴槽に入ってくる。厳密には足元湧出ではないが、足元湧出と同じと言ってよい。
実は湯元ホテルと古湯坊 元泉館とくつろぎの宿 裕貴屋の3軒の旅館の間にこの大岩が鎮座していて、その下から湧く霊泉を3軒が分け合っている状態なのだ。事実、1軒が源泉の供給量を変えるととたんに残り2軒の湯量にも影響する。だからこの3軒の間には清掃時間などには取り決めがあるそうだ。
一方、男湯の方は窓があって明るい雰囲気。加熱浴槽はモダンで洒落ていて、非加熱の方は天井がギリシャ風のデザイン。こちらは非加熱の方も女湯よりは少し温度が高く入りやすい。但し、ゆで卵臭と泡付きは女湯より弱め。浴槽の壁が斜めで寄りかかれるのもユニークに感じた。
湯元ホテルは高浜虚子ゆかりの宿だが(橋のたもとに句碑もある)、戦時中は傷痍軍人の療養施設としても使われた歴史を持っている。下部温泉の源泉は温度は低いし成分的には薄いわけだが、名湯として語り継がれてきたことには理由があり、清冽でじんわり染入るような良い湯であると思う。
下部温泉 湯元ホテルはトラベルjpの記事にも書かせていただきましたので、食事等、ホテルのさらに詳しい情報はこちらでご覧ください⇒ 下部温泉で湯量NO.1!山梨「湯元ホテル」はぬるい名湯がザブザブ