子連れ家族のための温泉ポイント
- 湯温★★★★☆ 泉質★★★☆☆ 塩分が濃いので長湯に注意
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★☆☆☆ 脱衣所隣室にあるマッサージ器をベビーベッド代わりできるかも
子連れ家族のための温泉ポイント
ほら、バブル時代だったらお洒落だったっていう建物あるじゃない。女の子がみんな松田聖子みたいな髪型とかサーファーカットしてて、夏には清里のペンション泊まってテニスをするのがお約束だったみたいな。あの頃をそのまま残しているのがこのブルーポート・スパ・ザ・BOON。でもってそのまま錆びついて今に至る。
そんな昔流行った風のザ・BOONはつい先日まで入浴料が700円と八丈島の温泉にしては突出して高かった。しかもここだけ源泉掛け流しじゃなくて循環なのだ。近所にもっと安くて露天風呂も付いているとか(ふれあいの湯)、さらに露天風呂がとてつもなく絶景だとか(みはらしの湯)、はたまたそもそも入浴料が無料だとか(裏見ヶ滝温泉、洞輪沢温泉)いう温泉があるわけだから、そりゃあ流行らないだろう。
さすがにこれではまずいと思ったのか、料金は500円とみはらしの湯と同額に、他の温泉と共通で使える温泉周遊券の対象ともなった。これでようやく横並びだ。それでもまだ不利なぐらいだ。
お湯はみはらしの湯やふれあいの湯にも似た緑色の重い塩泉だ。傷にもぴりぴりと沁みる。ちなみに裏見ヶ滝温泉と同じ中之郷尾越温泉。というか、あちらが湯元、こちらのザ・BOONは裏見ヶ滝温泉からお湯を引いてきている。
浴槽は大小二つ並んでいて、大きい方はライオンの口からお湯が・・・出ていない。朝一番に来たせいか、今は貯め湯状態。隅に圧注浴用の穴もあったが何も出ていない。沈黙している。
隣の小さい浴槽は打たせ湯になっていて・・・いや、なっていない。打たせ湯の設備はあるが、何も出ていない。打たせ湯を出すためらしいボタンが二つあり、一つはガムテープでふさがれていた。もう一つは♪マークが付いている。これを押せば打たせ湯が出るかと押してみたが、何も起こらない。それどころか、よく考えたら病院のトイレなんかにある♪マークは具合が悪くなったときの呼び出し用だ。まさか施設の人が飛んでくるのではと焦ったが、結局誰も来なかった。なんだったんだ、あのボタンは。
水風呂とサウナもあり、こちらはちゃんと稼働していた。ちょっとだけホッとする。
ちなみに上がった後で受付で聞いたら、打たせ湯は起動し忘れただけらしい。ということは、本来なら湯口や圧注浴もちゃんと動いているのかもしれない。
散々なことを書いてしまったが、お湯自体は決して悪くない。循環と言っても今はそもそも循環装置も停まっているようなのだ。どこからもお湯が出ていないけど、どこからも吸い込んでもいないから。
お湯の中には鉄分らしい細かい茶色の粒が浮遊している。さらにお湯の表面にも粉状の湯の花。それらは私がざぶざぶと入ったら流されてすぐに消えてしまった。ざぶざぶと言えば、このザ・BOONという名称は、お湯に入る「ざぶーん」という音と、英語のBOON(恵み)の掛け合わせだそうだ。こんなところにも昭和臭さが感じられる。
あとはもうちょっと窓を綺麗にしたらいいんじゃないかと思うんだよね。せっかく八角形の天井にも窓があって明るいんだし、すぐ外は海なんだから。中途半端に窓の下の方を目隠しするためにペンキかなにか塗って、それが剥げて窓全体が汚れたようになっているのは実にもったいない。
でもこれら全部ひっくるめたレトロ感がこのザ・BOONの持ち味なのかもしれない。