子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★☆☆☆☆ 泉質★★★★☆ 野沢のお湯は全般的に熱い
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
13も外湯があると、ついうっかり忘れてしまうところも出てくる。
私にとってはこの麻釜の湯がそれだ。
場所だって温泉街の中にあってむしろ便利だし、その近くを何度も通ったりしているのに、どうしていつも抜けそうになるのかわからない。
何となく建物が温泉街の通りにとけこんでいるからなのかもしれない。
その日も滝の湯に行こうとして、 道に迷わないようにと思い、朝日屋旅館のちょっと先、昨日真湯方面に行くときに曲がった十字路で地図を広げて確認したんだ。
ええと・・・
右手前方に治平という店があって、左手前方はきんべえという宿。うんうん、間違いない。ここを直進してすぐY字路を右に行くんだっけ。
Y字路、Y字路・・・目印は・・・と目をあげたら、そこに外湯らしい建物があった。
意外だった。
慌ててもう一度地図を確認する。
あっ、こんなところにも外湯があったのか。
すっかり存在を忘れていた。
そう、この外湯の名前はそのまま麻釜湯または麻釜の湯。
但し、源泉が麻釜(おがま)と呼ぶのに対し、外湯の方は麻釜(あさがま)と呼ぶ。
この「麻」は野沢で産出する園芸品で、民芸品などに加工して使ってきた植物だ。あの有名な野沢菜も、もともと麻の畑に二毛作として栽培されていたものが野沢の名産品として知られるようになったものだ。
麻は皮を向いて加工するが、その時に温泉に浸してふやかせる。この工程に使われたことによって麻釜の名前が残っている。
木造りの湯小屋の男女別になった戸をあけると、もういきなり浴室だ。
浴室の壁に脱衣棚がしつらえてあって、既に何人かの先客が使用中だった。
場所柄、観光客の利用も多そうだ。
窓が小さいのか大層薄暗く感じる。
浴槽は角を丸めた正方形で底はタイル張り。浴槽の縁と浴室の床は石でできている。
お湯はかなり熱いが蛇口から少しばかりの水が絶えず注がれていて激熱というほどではない。
ゆでたまごの臭いがほんのりと漂い、冷えた指先がじんじんとしてきた。
お湯の色はわずかに白濁透明。なんとなく優しい感じの湯でとても温まる。
ちょうど私が上がろうとしたときに入ってこられた方がいらした。
その方は手を入れて温度を見た後ちょっと辺りを見回して、先に入っていた地元の方とおぼしい女性に水を足していいかと聞いていた。
そして了承を得てから勢いよく蛇口をひねった。
じゃばじゃばとこれでもかと水が投入される。
確かにかなり熱かったけど大量加水前に入浴できて良かったなぁと胸をなでおろす自分がいたりして。
2015年に再訪した時も、うっかり忘れるところだった。
危ない危ないと思いながら、外湯巡りのラストに寄った。
で、その時の麻釜の湯だが、拍子抜けするほどにぬるかった。
たぶんその旅行で回った野沢温泉の外湯で一番ぬるまっていたかも。
いやいや本当は熱いはずなんだよ。
東日本大震災の直後に起きた長野の大地震以来、真湯の温度が下がり気味で、真湯近くの地元の人も熱い湯を求めてわざわざ真湯じゃなくて麻釜の湯に足を伸ばしていると静泉荘の女将さんに聞いたばかり。
麻釜の湯の先客は一人。少し話をしたけれど、地元の方ではなく観光客。ただしヘビーリピーターらしい。
お互いに地元の方で?と話しかけて、いえいえと慌てて首を横に振る。
彼女は麻釜の湯はいつも熱いのでそれを期待してきたのにと言う。
確かにぬるすぎる麻釜の湯はほにゃらららとしていて骨が抜けたようだ。
今は水が止まっているが、前に入っていた人が加水しすぎたのか。
ちょっとだけ白濁。
ぬるすぎる分、穏やかに感じるが、マッチのようなにおいは他の外湯より強く思えた。
※ 他の野沢温泉外湯を調べる→野沢温泉共同浴場マップ