子連れ家族のための温泉ポイント
- 湯温★★★☆☆ 泉質★★★★☆
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★★ 露天風呂は混浴なのでパパと協力して入れる
子連れ家族のための温泉ポイント
もともと6月から11月までの季節営業の秘湯だ。雪深いだけでなく、雪が少しでも降ると山﨑旅館に至る道が危険となるため、冬も紅葉の葉が落ちれば早々に冬支度に入る。
とはいえ7月の半ば宿泊の予約を入れたときは、まさかぎりぎりまでその年のオープンが遅れるとは思いもしなかった。一週間ほど前に公式サイトを確認して、オープンが遅れているというのを見たときはまさかと思った。雪解けの後に土砂崩れなどがあり、予定が立たなかったようだ。もしオープンできなければ宿泊予約をしたお客さんは、申し訳ないが延期をしてもらうか、姉妹館の一里野高原ホテルろあんに泊まってもらいたいと書かれていた。
そんなこんなでかなり冷や冷やしたのだが、訪問日の直前になんとか宿はその年の営業を始めた。本当に白山の山奥のシーズンは短い。
岩間温泉の一軒宿「山﨑旅館」は本物の秘湯だ。道路は舗装されているから車で行かれるが、車で行かれる秘湯の中では最も難易度が高いと思われる。(20秒の動画を作ったんで良かったら見てみて⇒本当に怖い?岩間温泉への道)
山﨑旅館を作ったのは現在の館主の祖父 山﨑信一氏。3.5キロ離れた湯谷に自噴する岩間温泉の源泉をここ山﨑旅館まで引いて、さらにはスキー場もある一里野まで管を伸ばした。その事業は困難を極め、まさに血のにじむような苦労を重ねた。
今の時代なら温泉を引くのはもっと容易であったろうし、わざわざ山奥から引いてくるぐらいなら、もっと便の良い場所をボーリングすればいいじゃないと思いそうだが、当時は源泉に至る難路をパワーシャベルもブルドーザーも入れなかったわけで、全てダイナマイトと人の手で行わざるを得なかった。
どうしてそこまでして温泉を引きたかったかと言えば、現在の一里野の集落の共有財産として住民たちの生活と経済を守るためだったというから恐れ入る。
現在は一里野温泉の湯量もまかなうために新たにボーリングした新源泉を使っている。岩間や中宮の源泉は白山のマグマが断層に沿って下から上がってきたもの。元々の源泉は90度だったが新源泉は100度近くあり、これを引いてきて50~40度程度に下がったものを掛け流しで使用している。
岩間温泉にはボイラー設備がないため、季節的に温度が下がるとなかなか厳しいらしい。逆に夏など温度が下がらないときは、湯量を絞って浴槽内の温度を適温に保っている。
山﨑旅館は2005年から2012年までの7年間を休業していた。再開させた館主は新館の客室、浴室棟などに手を入れた。脱衣所や一部の客室は本当に綺麗で、秘湯だけど女子旅でもいけると思う(旧棟や内湯は相当鄙びているけど)。
お風呂の話をすると、内湯は男女別だが露天風呂は混浴だ。でも混浴と言っても専用の腰巻きを脱衣所に置いて、それを着用しないと露天風呂に行ってはいけないというルールを架しているので、かなり入りやすいタイプの混浴だと思う。
取材の最後に館主が露天風呂は晴れた夜に入ると本当に素晴らしい星空が見えると教えてくれた。新月の夜は天の川もくっきりだそうだ。
夕方から雲が出ていたので夜空の期待はせずに寝る前に露天風呂に向かったら、夜風に乗って歌声が聞こえてきた。歌っていたのは年配の従業員で、戦時中のことからこの宿周辺の自然のことからいろいろな話をしてくれた。
そうしているうちに雲が晴れ、いつの間にか頭上は降るような星空になっていた。夜のしじまに大気を震わせて流れていく歌声と満天の星。もう現実なのか夢の中なのかわからない。
岩間温泉 山﨑旅館は取材して記事にしています。特にお部屋や食事に関しては記事の方に詳しく書きましたのでぜひご覧ください。⇒石川「岩間温泉 山崎旅館」アクセス怖すぎと噂の秘湯はこんな所