子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ 温度は適温ぬるめ、泉質は特に問題なし
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★★ 脱衣所にベビーベッドあり
子連れ家族のための温泉ポイント
榛名山麓の日帰り温泉・立ち寄り湯はほぼ制覇したはずだった。榛名湖に定宿があった当初、榛名山を中心に、その大半を。
なのに長い間すっぽりと抜け落ちていたのがこの「かやぶきの郷 薬師温泉旅籠」。理由はいたってシンプルで、存在を知らなかったわけではなく、このエリアにしては突出して日帰り入浴の単価が高かったから。
薬師温泉旅籠は一軒宿だが、近隣の鳩ノ湯温泉三鳩楼、温川温泉白雲荘とともに浅間隠し温泉郷とも呼ばれる。旅籠以外の2軒は群馬の山あいの温泉らしい日帰り料金設定だったが、旅籠だけは千円以上という強気の入浴料に加えて、観光バスなどが日帰り客を運んでくる雰囲気に、ちょっと我が家向きじゃないと感じていた。
それに加えて、温泉なのは一部の浴槽だけで、それ以外は薬湯という名目で非温泉のお風呂だと聞いたので、ますます施設は豪華でも温泉としてはいまいちなんじゃないかと思いこんでいた。
それがまったくの誤りであると知ることができただけでも、今回訪れる価値があった。
確かにかやぶきの郷 薬師温泉旅籠では、内湯の薬師の湯、郷の湯、露天風呂の滝見乃湯の三つのうち、純粋に温泉の源泉だけを使っているのは薬師の湯の一部の浴槽だけだ。滝見乃湯は源泉と水の半々だし、郷の湯に至っては温泉は使っていない。
でもこれは、全部のお風呂に薄めたり循環した温泉を入れるのではなく、一点集中して本物の温泉を楽しんでほしいという心配りなのだった。これはこれで正しいと思う。
というわけで、薬師温泉そのものに入りたければ、一番いいのは薬師の湯に行くことだ。残念ながら今は薬師の湯は宿泊者専用。日帰り客は滝見乃湯と郷の湯しか利用できない。
但し、これには裏技がある。滝見乃湯の清掃時間に限って、日帰り入浴客でも薬師の湯に入れるのだ(必ずではないが)。源泉掛け流しの本物の薬師の湯に入りたい人は、入郷時に清掃時間を確認しておくと良いかも。
それでは順番にお風呂の印象を。
薬師の湯は男女ともに三つの浴槽がある。源泉掛け流し浴槽、ゲルマニウム温浴槽、ゲルマニウム寝湯だ。一番大きいのが掛け流し浴槽。
お湯は貝のすまし汁のようなうす濁り。肌触りはつるつるでもきしきしでもなく、絹を滑らせたような不思議なすべすべ感。ぬるめ適温で、湯口にカルシウムの析出物が固まっていた。
浴室は一面が広い窓で渓流がのぞめる。釣り人が川を遡ってくることもあるそうだが、窓はミラーフィルムになっているのでのぞかれる心配は無い。
味は薄甘じょっぱく、鰹節のような香ばしいにおいが少し。じんわりと温まり、湯上りはするすると滑ったかと思うとぺとつき、そのあと爽快感を感じる。
次に郷の湯。こちらは独立した浴室棟で、お湯は温泉ではなく薬湯。昔からこの辺りで使われてきた地元吾妻産の薬草をネットに入れてお風呂に沈めてある。温泉地名が薬師温泉だから、薬繋がりというのもあって、薬湯にしているという。
薬湯は番茶かほうじ茶のような癖のあるにおい。温泉とはまた違った感じで楽しめるかも。それに日帰り入浴の場合は体や髪を洗うのに良いと思う。
最後に滝見乃湯。これはもうロケーションが絶品。それだけでも入る価値がある。もちろんお湯に温泉らしさもちゃんと残っている。
手前に青紅葉、対岸に藤の花。そよぐ風。そして轟々と音を立てて流れ続ける滝。奥行きと躍動感。まさに五感が愉しむ露天風呂。これは実際に入った人にしか味わえない。
かやぶきの郷 薬師温泉旅籠に関して、たびねすに2件の記事を寄稿しましたので、
かやぶきの郷の日帰りについては、群馬「かやぶきの郷 薬師温泉旅籠」を日帰りで楽しむにはを、
薬師温泉旅籠の宿泊については群馬「かやぶきの郷 薬師温泉旅籠」の露天風呂が美しすぎ! を、ぜひご覧ください。