子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★★ 温度は温め、泉質は特に刺激なし
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★☆ 脱衣所はちょっと狭く浴槽は少し深めだが、休憩室がある
子連れ家族のための温泉ポイント
関越自動車道から草津へ向かう場合、渋川伊香保ICで降りて、353号線から134号線へ出て、ダムの底に沈む温泉川原湯を経由して行く道が一般的だろうか。新緑や紅葉の季節、案外この道は渋滞する。
もうひとつ別の道もある。岩櫃山の聳える郷原から少し南へ下り、406号線を行くのだ。この道、ラストの長野原へ出るところでは細い九十九折の田舎道だが、別名を草津街道。道筋には、国定忠治が破ったと云われる大戸の関所跡や、丸山城跡、柳沢城跡と、昔の街道筋を髣髴とさせる名残が今も残されている。
この草津街道沿いに三軒の湯宿がひっそりと湯煙をあげている。
鳩ノ湯温泉三鳩楼、薬師温泉旅籠、温川温泉白雲荘の浅間隠温泉郷だ。
温川温泉の駐車場は川沿いで、見るとちょうど対岸は薬師温泉の駐車場になっている。商売上手な向こうはぎっしり停まっている。10台以上きているだろうか。地味な温川のほうは3台くらいだ。
宿は坂の上だが、露天風呂は駐車場のすぐ横だった。妙に生活観のある別棟の休憩室も備えられていて、立ち寄りしやすい雰囲気だ。休憩室の前にはむくむくとしたイヌも飼われていた。
子供たちは今日はパパと入るという。脱衣所の靴を見ると、男湯も女湯もそれぞれ3、4人の先客がいるようだ。脱衣籠は5つしかなく、これがキャパシティーいっぱいというところだろう。
脱衣所から出ると、いきなり露天風呂がひとつ。それだけだ。内湯は坂の上の旅館内なのだ。
浴槽は檜の四角いもので、4、5人でいっぱいサイズ。既に3人ほど入浴中。天井には透明な屋根がついていて、女湯は景色が見えるはずの二面はヨシズを垂らしていて外から見られないようになっている。確かに、正面の斜面の上には江戸時代旅籠調という薬師温泉旅籠の建物が見えていて、目隠しがなかったら向こうからも丸見えなのだろう。
手前にカランとシャワーがあったので軽く流してから入った。
目の湯と呼ばれる眼病に効くお湯は、ごく薄くもやがかかったように白っぽいがほぼ透明。気持ちぬるめで肌触りが柔らかい。臭いはほとんどなくて、淡い甘塩味。しゃがんで入るくらいのちょっと深めの浴槽だ。
浴槽のところは男湯と仕切ってあるが、その外側は繋がっている。子供たちを呼んだら、二人ともひょこひょこと女湯にやってきた。
このお湯の温度なら子供は気に入るだろう。
温川沿いにある割には、川はまったく見えないし、紅葉を見る露天風呂というほどではないけど、11月初旬の今の季節、ヨシズの間から黄色く染まった木々が見える。たぶんここは、浅間隠三軒の温泉の中では一番垢抜けない、そしてその分のどかさが残っている感じの宿だ。男湯と女湯の間に小さな水車もおいてある。
お湯はよく温まる。強烈なのぼせ度ではないけど、中からじんわり温まるようだ。こういうお湯もいいなぁ。
上がった後は受付をしていた方とすっかり話し込んでしまった。話をしてみると、実はご近所さんであることが判ったので。彼女は東京住まいで週末だけこちらの手伝いにいらしているそうだ。
浅間隠はそれぞれ源泉の違う三軒があるけど、三軒ともお湯は信頼できるからね。特にうちはホウ酸が沢山入っていて目にいいからね。ぜひまた来てね、と仰っていた。
田舎のおうちに帰ってきたような、そんな温かいしみじみとした温泉だ。