子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ 泉質は心配なし
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★☆ 歴史的建造物の浴場
子連れ家族のための温泉ポイント
2000年代前半だったか、ついに道後温泉本館が陥落したと温泉ファンの間で悲鳴が上がった。掛け流しは掛け流しでも、塩素消毒されるように決まったというのだ。デリケートな泉質なのに塩素なんぞ入ったら台無しと多くのファンが泣いたようだ。
あれから十数年。私はようやく道後温泉にやってきた。だって四国、遠いんだもん。四国に来たのはこれで2回目。でも最初に来たときは、愛媛には来たが道後には来ていない。温泉にも入ってない。
ぼっちゃん電車が停まり、ぼっちゃんカラクリ時計が回る道後駅前から商店街のアーケードを歩き、アーケードが抜けるところでいきなり真正面に道後温泉本館があった。度肝を抜かれるとはこのこと。
だけど撮影は角度を選ぶ。だって後ろにそびえる茶玻瑠、邪魔でしょ、でしょ?100人中99人は邪魔だって思ってるに違いない。
翌朝、取材の申し込みをしていたので、この日は様子見で神の湯だけささっと入浴して・・・と思っていたのだが、受付に聞くと、ちょうどキャンセルが出たので今なら神の湯+霊の湯の個室セットに入れるとのこと。じゃあとそれでお願いすると、その場で満室になりすぐに案内してもらえた。
道後温泉本館は、一番安い入浴だと神の湯のみ。グレードを上げると、神の湯+2階席(大広間休憩室)、神の湯+霊の湯+2階席、神の湯+霊の湯+3階個室とバリエーションがある。今回利用したのは全部込みの3階個室休憩付きのやつだ。
3階には夏目漱石が正岡子規と利用した個室「ぼっちゃんの間」が残されていて、こちらは誰でも見学が可。道後温泉本館にはこのほかに又新殿という皇室専用浴室がある(有料で見学可)。
私たちが利用した個室は他より狭い部屋だが角部屋。夏目漱石の部屋の向かいにあたる。そこで浴衣に着替え、ブザーを鳴らすと、案内係が霊の湯へ連れて行ってくれる。湯上がりは自由に個室に戻って良い。また神の湯も自由に入りに行って良い。坊っちゃん団子とお茶のサービスもある。制限時間は1時間20分だ。
霊の湯はシャンプーも石鹸も備え付けがある。浴室は少し古びていて、洋風レトロな旅館にありそうな雰囲気ではあるが、壁や浴槽は御影石で高級そう。浴槽の縁はつるつる。湯口は橋の欄干みたい。
お湯は無色透明。親子連れがシャンプーを使って浴室中フローラルにしていたのでお湯のにおいはカルキ臭の他わからず。すべすべする肌触りは顕著。
一方、神の湯はあまりの混雑ぶりに目が丸くなった。脱衣所も浴室も広くタイムスリップしたかのような大正浪漫な雰囲気にあふれているのだが、とにかく人が多い。カラン、浴槽内、浴槽の周囲、全てに人が多過ぎ。
浴槽の中央に像がありそこから四方にお湯が出ているのだが、それを独占して肩に当てる人もいる。こちらは霊の湯とのハシゴでもうのぼせそう。隅に座ると地元の常連さんが、浴槽の縁を背にして座るのよと教えてくれる。なるほど、こうするとお尻と背中があったかい。混んでますねーと口にすると、まだまだ本当に混むのはこれからとのこと。3時に団体さんがチェックインして、夕食前にどっと本館のお風呂に入りに来るんだって。あー、わかるわかる。しかし、今これだけ混んでいるのだから、これ以上ってもう想像つかないよ。
なお、道後温泉の源泉は全部で18本。温度は20度から50度とさまざまで、それを4ヵ所の分湯槽に分け(泊まったあたたかい宿 谷屋は第5分湯場なので、使っていない数字があるのかも)、外湯と各旅館に配湯している。分湯槽から配湯用のパイプが伸びるわけだが、宿によってはいずれかの分湯槽から専用線で直で引くこともある。
ちなみに道後温泉本館は第2分湯槽、同じく外湯の椿の湯と飛鳥乃湯泉は第1分湯槽のお湯を使っている。各旅館は実際にお風呂に使うまで時間が掛かることもあり、熱めのお湯を分配、外湯は直で浴槽に流すのでぬるめの源泉と混ぜて加水無しで適温にしているそうだ。
道後温泉本館を含む3つの外湯の紹介と、保存修理工事に関してはぜひトラベルジェイピーの記事「道後温泉本館の改修工事が気になるあなたに!3つの外湯の楽しみ方」をお読みください。