谷地温泉から蔦温泉までの道は、七戸から谷地温泉に来るまでよりはマシだった。
マシだったと言うだけで、霧が無かったわけではないが、谷地温泉周辺は本当に酷かった。それに比べれば少しはあたりが見えていた。
車で10分ちょっと。
霧雨が降っていて、地面もぬれている。
ここは古いけれども高級感もあり、文人に愛されたとかそういうキャッチフレーズがよく似合う宿。
一番安い本館は空きが無く、少し高い西館に予約を入れていた。
雨に燻る古い和風建築は趣がある。
ゆるやかなカーブを描く破風。玄関わきの胴丸のポスト。
車を停めるとすぐに中から宿の人が出てきて世話をしてくれる。
チェックインの手続きは玄関入って左側のロビー。
昭和初期のお屋敷の洋室のようなレトロ感のある部屋になっていて、ここでお茶ではなくリンゴジュースが出てくるところが青森らしく頬がほころぶ。
案内された部屋も小奇麗で、窓から見える景色が真正面に小径が見える。
なので雰囲気はいいけどあそこを歩く人がいたら部屋の中が丸見えかもと心配になったり。
部屋に用意された浴衣は、男女で柄が違い、特に女性用は華やかで気分が盛り上がる。