夕食前にとりあえずお風呂。
まず蔦温泉旅館のお風呂について説明すると、お風呂の場所は二ヶ所。
男女入れ替え制の久安の湯と、男女別の泉響の湯。
泉響の湯は男女それぞれなので2と数えると、計3つの浴室の全てが足元湧出泉であるというのは贅沢の極み。
夕方から夜に掛けては久安の湯は男湯になっているので私は泉響の湯に入ったが、後から思えば久安の湯の男女入れ替え設定の時間が男性にとってはかなり厳しく(男性は13~20時、女性は10時~12及び21時から翌朝8時)、特に夕食ぎりぎりにチェックインした男性たちなど、とにかく夕食は後回しにしても久安の湯に入ってしまわねばもうチェックアウトまで入る機会なしとなるので、久安の湯はもう20時まではずっと混雑していたようだ。
逆に久安の湯の女性専用時間は拍子抜けするほど空いていて、夜も朝風呂も結構長時間独占できた。
まずは泉響の湯から。
入ると最初に天井の高い広々とした空間に驚く。
脱衣所から階段を下りて行くのだが、薄暗い浴室は雰囲気満点。
何人か入浴客がいて、みんな静かに掛け湯槽で流したり、湯船に浸かったりしている。
ここは下から湯の湧く浴槽の他、汲み用の槽とシャワーがひとつだけ。
四角い木の浴槽に入っているお湯は熱く、チェックイン時に熱すぎる人は蛇口の水を出してその近くで入るよう説明があったが、そうしなければならないほどは熱くない。
無色透明。底の板もよく見える。板は少し隙間を空けて並べられていて、その隙間から湯が湧いている。
初めは気付かないほどだが、じっと見ていると細かい泡がところどころから登ってくる。一定ではなく、時たまぷつぷつっ、ふわふわっという感じ。そうした泡ポイントの上に陣取っていると、たまに予期せぬ大きな泡がボコッと膝の裏にぶつかってきたりして、嬉しくなる。
隙間から湯が湧いているといっても、隙間が特に熱いわけではない。
肌触りはなめらかながら、特にはっきりしたにおいなどは無い。
ただすぐに温まるので入り続けてはいられない。上がって板張りの床で休んで、またしばらくしたら入るの繰り返し。
縁の一部が低くなっていてそこからあふれたお湯が床に流れるようになっているので、そこに座って長居。
薄暗い、お風呂だけのこの空間で、何をするでもなくお湯に浸かったり出て休んだり、ただそれをしているだけの贅沢。