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湯西川温泉小旅行
*秘湯と米作り体験の旅*

7.川縁の混浴露天風呂



 外側からは見えない隅の方で脱衣した。
 そうしている間に、やはり地元のおばあちゃんが一人やってきた。
 「靴を出しておくとびしょびしょになっちゃうから、下駄箱に上げた方がいい」
 下駄箱があることに気が付かなかった。
 何でも足の悪い人が多いので、どうしても脱衣所の周りはびしょぬれになってしまうという。
 そのおばあちゃんも杖をつきながらやってきた。
 「ここのお風呂は家のお風呂よりずっと温まっていいんだけど、ここに来るまでの階段がねぇ」

 川沿いの露天風呂は誰も入っていなかったので、我が家の四人はそちらに入らせてもらった。
 おお、ぬるい。
 このぬるさが川治らしい。
 前に入ったときは本当に辛かった。
 温泉に入って辛いというのも変だけど、寒い時期でぬるいお湯で、当時は今の女湯になっている建物を半分に仕切って男女別にしてあったが、それでも半分露天風呂のような建物で外とほとんど気温は違わない。
 二ヶ所湯中からお湯の出る湯口があったのだが、入浴客はみんなそこの取り合いで、それに湯口でもたいして温かくない。むしろ益々出られなくなるという温度だった。
 意を決して上がって体を拭いて着衣すれば、実はぽかぽかと中から温まっていることもなくはないのだが、とにかくそこまでの勇気が出ないほど寒かった。
 今の季節ならちょうど良い。
 1時間でも入っていられそうな温度だし、それに出るときはちょっとひやりとするぐらいで寒いことは無い。

 お湯は無色透明、臭いも温かいお湯らしい臭いしかせず特に温泉らしさは無いが、泡付きがとても良い。
 源泉は上からではなく中から注入されているのだが、ぽこぽこと泡と一緒に出ていて、その泡が体中につく。はらってもはらってもというくらい。なかなか気持ちよい。


川に張り出した方の薬師の湯の露天風呂 こちらは脱衣所の隣の露天風呂
晴れ娘、カナ ぽこぽこと泡が浮いてくるの、判る?


 川はよく見えるが、川からもよく見える。
 パパはもうひとつの露天風呂の方にも入ってきたが、とてもこちらは入れなかった。
 朝一番でも何人か先客がいらしたが、その後も次から次へとお客さんが来る。地元の人あり、ハイカーあり。大盛況だ。
 入ったはいいけど、どうやって出るかなぁ。
 とりあえずパパにバスタオルを持ってきてもらって、それを巻いて脱衣所まで移動した。
 こういうとき脱衣所が男女別になっていないのは辛いが、そういう人は女性専用に入ってねということなんだろう。
 ようやく支度を終えて出てみたら、私たち一家が入っていた川沿いの露天風呂もぎっしりとお客さんが入っていた。
 潮時だった。
 お湯の中ではきしきしとした肌触りは、湯上がりにはさらさらとしていた。

 地元の方が湯船で「今日は一日曇りで夕方には雨が降るって言っていたのに晴れたねぇ」と言っていたそうだ。
 パパは内心「カナが晴れ女だからな・・・」とひとりごちたとか。


緑したたる対岸の景色




1-8.謎の西川温泉へ続く


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