これで予定していた観光コースは全て巡り終えた。
あとは山口宇部空港へ戻るだけなのだが、8時過ぎ発の飛行機にはまだ早い。
今の時刻は午後4時。
周防大島で竜崎温泉に入れなかったからどこかもう一ヶ所ぐらい温泉に寄ってもいいよとパパが言った。
となると、できるだけ空港に近づいておきたい。
渋滞とかにはまって焦るのは嫌だし。
地図で見て、空港に近い温泉地と言うと、片倉温泉、阿知須温泉、持世寺温泉あたり。
ナイジェルさんが空港近くなら持世寺温泉って書いてたっけ。ここでもナイジェルさん情報頼りだ。
慌てて持世寺温泉に関する情報を検索する。
えーと、なになに、持世寺温泉には上の湯と杉乃湯という日帰り温泉があり、上の湯は割と一般向け。杉乃湯はマニアックとな。
うーん、一ヶ所しか入れないなら佇まいはB級でもお湯の良い方がいいやと杉乃湯へ。
通るのが心配な細い道かと思っていたが、道路は出来立てのようにぴかぴか。道沿いに「元祖ラジウム温泉掛け流し杉乃湯」の目立つ看板は立っているわで迷わず到着。
この看板は新しいようなので、これができる前は判りにくかったのかもしれない。
しかし看板は立派でも施設はネットの書き込みそのまんま。まったく手入れがされていないようす。
受付棟の駐車場から見える窓には二匹の猫がだらんと寄りかかりこちらを見ているが、あまりにも窓が汚れているのでその猫の姿もぼんやりとしか見えない。大正時代の印刷物みたいにセピア色に見える。最初は写真かと思ったぐらいだが、もぞもぞと動いているので本物か。
受付窓の下にも一匹いて、やる気なさげにこっちを見ている。なでても逃げはしないが懐きもしない感じ。
中の廊下や脱衣所も飾り気が無くて古びている。
浴室は意外と広かった。先客が一人。
浴槽は左右に二つ並んでいて結構大きい。右の湯が非加熱源泉。左が加熱源泉。
どちらも角を丸めたタイル張りの浴槽で、壁もタイルでレトロだけど洒落た感じがある。
両方の温度を手を入れてみた後、まず熱い方で掛け湯。